2018年2月18日

東北大学で違法な6か月クーリング(応募資格停止)方針発覚

天下り官僚の暴走を許さず、里見総長は英断を

〔1〕 広がる無期転換の大波、東北大学で天下り官僚の暴走(無期転換を認めた大学は「大変なことになる」と発言)

 昨年末に東京大学が非常勤職員に対する5年上限や6か月クーリング(応募資格停止)を廃止し、4月1日以降の無期転換申込を認めたというニュースは、瞬く間に全国に伝わり、同様の動きが他の大学や独立行政法人に広がっていきました。室蘭工業大学、長崎大学、宮城教育大学などが相次いで非常勤職員に対する上限やクーリングを廃止し、無期転換の実施を決めました。東工大や東京藝大も、非常勤職員についてクーリングをせず、業務が続く場合には、5年越えも認めることになりました。独立行政法人でもジェトロが無期転換逃れの雇い止めを中止するなど無期転換の大波が広がっています。ところが、東北大学では、2月7日の東北大職組との団交で、無期転換を認めた国立大学について 大槻人事労務担当理事が「上限を撤廃した大学がなぜそれができたのかはわからない.しかし大変なことになるという声が聞こえてくる.先が見えてやったことではない」 と述べるなど、労働契約法18条に基づく無期転換を敵視する態度を取り続けています。

〔2〕 発覚した違法な6か月クーリング方針文書

 そんな中で、東北大学で無期転換防止のために5年上限・6か月クーリングの方針を定めた文書(「改正労働契約法にかかる主な対応方針」H25年2月19日の部局長連絡会議)の存在が明らかになりました。「准職員就業規則、時間雇用職員就業規則関係」については、〔今年度中の対応〕 通算雇用期間について、平成 25 年 4 月 1 日以降の雇用契約から新たにカウントする旨学内に通知する。〔来年度の対応〕 准職員就業規則及び時間雇用職員就業規則を改正し、通算雇用期間 について、特定プロジェクト研究等に専従する場合等を除き 5年を上限とするとともに、改正法を踏まえ原則 6か月のクーリング期間 を設ける。 期間の定めのない非正規職員〔注――東北大では限定正職員と呼ばれている〕――の導入に向けて検討を行う」。この内容は、5年上限・6か月クーリングという点で、廃止された「東大ルール」と全く同じものであり、作成された時期(「東大ルール」は、H24年9月から議論が始まり、H25年2月28日作成された)もほぼ同じです。この方針は、「東北大ルール」とでもいうべきものです。また、東大ルールに関しては「無期転換ルールと東大ルールは、考え方が異なる」という説明が反発を呼んだが、東北大の場合も、H29 年2月の説明会で「上限の5年を超えて働くには、限定正職員に受験していただくしかない」という説明に対して、参加者が「それは法律か、大学の方針か」と質問したところ、「大学の方針だ」と回答しています。法律で保障された労働者の権利を「大学の自治」で奪うことができるという特異な考え方でも相通じるものがあったことになります。東京労働局は、神奈川県の消防試験研究センター事件の指導文書(2017年2月27日)の中で「1年契約の最大更新回数は3回までとすること」「再雇用する場合には6か月のいわゆるクーリング期間を置くこととするという方針」について、「仮に、かかる方針が、無期転換ルールを免れる目的で運用されるとすれば、それは労働契約法第18条第2項の規定の濫用と言え、望ましいものではないことから、そのよう運用は厳に慎むよう求めます」と述べています。「東北大ルール」は、まさに無期転換逃れのための、労働契約法第18条第2項の規定〔クーリング条項〕の濫用であり、厳に慎むべきものではないでしょうか。当組合は、2月16日に宮城県労働局に東北大の6か月クーリング方針について情報提供を行い、厳しく指導するように求めました。

〔3〕 過半数代表選出に際して、「非常勤講師・TA・RA」を母数から排除

http://tohokuhk.exblog.jp/29516491

 東北大学では、過半数代表者選出の際に非常勤講師やTA、RAを母数から排除し、選挙権も被選挙権も奪っていたことが問題になっています。このようなやり方は、労働基準法90条違反とされており、就業規則の有効性に問題が生ずるだけでなく、36協定〔時間外労働に関する労使協定〕まで無効とされた事例(2013年の一橋大事件)もあります。その場合、残業や休日出勤の命令ができなくなります。1月11日、当組合の松村委員長・大野副委員長・佐々木東大教職員組合委員長の三名が仙台労基署を訪問し、東北大学を労基準法90条違反で告発しました。2月16日には、雇止めを通告された2名の事務補佐員が大学をやはり仙台労基署に刑事告訴しました。男性の1人は、記者会見で「多くの非正規職員が雇い止めという事実に、悲しみ、怒っていたため、見過ごせなかった。大学は、社会の要請を守って欲しい」と話していました。また、2月1日には、非正規の職員6人が、十分な説明もなく雇い止めにあうのは違法だとして、雇止めの撤回を求める労働審判を仙台地方裁判所に申し立てています。なお、労働審判や裁判に訴える非正規労働者は、まだまだ増える可能性があります。

〔4〕非正規の組合には団交に理事が出席せず、弁護士が時間稼ぎの不誠実団交

 首都圏大学非常勤講師組合と東北非正規教職員組合は2月6日、東北大学と団体交渉を行いました。大学側は、権限を持つ理事が一人も出席せず、全権を委任されたと称する代理人弁護士のみが「時間かせぎ」の不誠実交渉に終始し、有期教職員を愚弄する発言でネットを賑わす成田人事企画部長が時折弁護士と内緒話をする他は、同席した大学側担当者らは一切発言しませんでした。しかも、団交の中で、代理人弁護士は、「クーリングは存在しない」と事実と異なる説明をしました。このような交渉は、不当労働行為とされており、当組合は、労働委員会に不当労働行為救済の申し立てをすることも検討しています。

〔5〕天下り官僚や悪徳経営法曹の暴走を許さず、里見総長は英断を下すべきです

 無期転換回避のために5年上限・6か月クーリングを強制する内規は5年前に全国で一斉につくられており、東大の影響だけでなく、当時は文科省もそのようなやり方を暗に推奨していた可能性があります。しかし、現在では、東大も文科省も方針転換し、東北大学は、完全にはしごを外された状態です。しかも、非正規労働者が次々に立ち上がり、地元マスコミの批判も強まる中で、東北大学は、孤立無援の状態に陥っています。それでも、東京からやってきた天下りの官僚や悪徳経営法曹は、被災地の労働者を大量にクビにすることに執着しています。非正規職員の生活を守り、さらには東北大学の名誉を救うために、里見総長の英断を切に望むものです。

首都圏大学非常勤講師組合 書記長 志田昇)
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