2015年9月6日

「経済徴兵制」・TPP・派遣法改正に対する反対声明

■私たちは「経済徴兵制」に反対します。また、大学研究・教育の軍事化を促すような潮流にも反対します。

現在、安倍政権は戦争可能な国づくりをめざして、なりふりかまわず安保法制を成立させようとしています。おそらくこの動きとも連動して、去年の7月、前原金一経済同友会専務理事が、有識者として出席した文科省「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」の席上、「奨学金」の延滞者に対し、「防衛省などに頼み、一年か二年かインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」などと発言しました。
大学教育の現場からすれば、私たちは教員の立場として、「奨学金」を梃子に学生を戦争へと動員しようとするこのような愚劣な発言を、いかなる理由においても容認することができません。
私たち首都圏大学非常勤講師組合は、これまでも学費とともに日本学生支援機構の「奨学金」のあり方を問題視し、「被害者」救済を働きかけてきました。上記の発言は、学生を借金漬けにしておきながら、その借金のカタとして――いわば学生を貧困化させることによって――戦争へと誘導する「経済徴兵制」にほかなりません。
学生を戦争に加担させようとするこうした動きのみならず、安保法制をめぐる一連の流れは、軍事の社会への浸透を加速させようとしています。今後考えられうる軍事的なものの大学への導入など、私たちは大学における教育・研究の軍事化を進める施策のいっさいに反対します。

■私たちはTPP(環太平洋経済連携協定)に反対します。

安倍政権はTPPの締結をめざしていますが、問題はひとり農業問題にとどまりません。医療・年金といった分野もまたそのターゲットとなっています。
医療においては、混合診療の導入によって保険適用外の自由診療が拡大し、医療費が高騰すると考えられます。年金についても、ただでさえ存立が危うい現在の公的年金は衰退し、私的に加入する個人年金しか残らなくなるような状況に帰結する可能性が大です。いわば、これらは貧富の格差によって保障が受けられなくなったり、その質に大きな差がつけられたりすることに直結します。
TPPの推進は国民皆保険制度の解体をはっきり意識しながら、医療・年金分野への市場原理の導入を大々的に進めるものです。格差や貧困をもたらし、医療や社会保障制度の大幅な後退をあらかじめ組みこんだ上で進められるTPPに、私たちは反対します。

■私たちは派遣法改正に反対します。

安倍政権は派遣法改正をめざしていますが、これは政権が説明するような正規雇用化への道を開くものではさらさらなく、実態はこれまであった業種の制限をなくし、派遣労働に一律期間を設けて、3年で雇止めを可能にする改悪です。政権は3年経過の後、直接雇用を申し込む権利を謳っていますが、むろんそれが直接雇用に繋がる保証など微塵もありません。今回の改正は、抜け出したくとも、そこから抜け出せない派遣労働の恒久化をもたらします。
周知のとおり、派遣労働は一般企業だけでなく大学にも及んでいます。非常勤講師も派遣型に置き換えたいという大学経営の側の意図もありありとうかがえる現在、これを対岸の火事だといって済ませられないのはいうまでもありません。同じように――幸い成立はしませんでしたが――裁量労働制の拡大と長時間労働を可能にする労働基準法改悪も今国会に上程されました。
財界の意志に忠実な政権は、労働者に犠牲を強い、その犠牲のうえで――大企業を中心に――巨大な利益を貪ることが可能な体制を盤石にしようと躍起になっています。私たちは雇用のいっそうの不安定化と破壊とを招く労働法制の改悪を看過せず、派遣労働という間接雇用自体の廃止を求めるとともに、この改正派遣法案に反対します。

以上、政権が進める施策はすべて、直接間接に社会の貧困化を生じさせ、拡大し、社会全般に対し、回復できないような深刻な影響をもたらします。私たち首都圏大学非常勤講師組合はこうした危険な流れに断固反対します。

首都圏大学非常勤講師組合
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