大学非常勤講師も教育基本法改悪に反対します

 現行の教育基本法は、先のアジア太平洋戦争を振り返り、教育勅語に始まる勅令主義が貫徹する場であった教育のあり方を真摯に反省するなかで制定された。なぜなら、前文は次のように宣言しているからである。「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力に待つべきものである。」教育行政について、第10条が「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行うべきものである。」と述べているのも、この戦後の大転換を示している。
 今回の改正案は、教育を「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり・・・」と16条で述べつつ、まだ明らかでない「教育振興基本計画」の枠をはめ、時々の政府の上からの決定に従わせようとするものである。
 今日の教育をめぐる状況に、さまざまな問題があることは論を待たないが、それは教育基本法に原因があるわけではない。経済格差の拡大がもたらす家庭の崩壊、競争のストレスがもたらす心の病の蔓延、汚職に塗れたモラル崩壊、子供を食い物にする大量消費社会・・・、我々が一つ一つ取り組むべき課題は山積しているが、それらが教育に対する国家統制を強化することで解決するとする根拠はどこにあるのだろうか?
 現行の教育基本法第6条は、教員について次のように述べている。「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に勤めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」我々、教育・研究者は、政府の奉仕者ではなく、まさに国民全体の奉仕者である。その反映として、憲法23条において、大学の自治が認められているのではないだろうか。身分が尊重されず、待遇の適正が全く期せられていない非常勤講師にとっては、むしろ現行教育基本法の実現こそを求めたい。改正案はこの部分に、「養成と研修の充実が図られなければならない。」を付け加えた。すでに、小中高の教員が研修に追われ、生徒と向き合う時間を奪われているという現実を耳にする。大学を含めた教育の場に、国家統制の意図が疑われる研修を導入することは、憲法の趣旨にも大きく矛盾する。
 文部科学省主導のタウン・ミーティングにおける“やらせ”が暴露された。国民的規模で反対が広がる中で、このような姑息な手段を用いて法案を通そうとしてはならない。
 われわれ首都圏大学非常勤講師組合は、教育の国家統制に道を開く教育基本法の改悪に断固反対する。右決議する。

2006年11月12日
首都圏大学非常勤講師組合 執行委員会       
(〒170-0005 東京都豊島区南大塚2-33-10 TEL: 03-5395-5255)

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