「第26回パート・派遣など非正規ではたらく仲間の全国交流集会in東京」
(2018年6月9日)
http://www.cwac.jp/blog/2018/04/26in-44dd.html
リレートーク原稿

無期雇用転換の取り組みについて
~高等教育の危機と日大問題~

首都圏大学非常勤講師組合・委員長 松村 比奈子

 こんにちは。当組合の無期雇用転換の取り組みについて、高等教育の危機と日大問題という観点からお話ししたいと思います。当組合は1996年に関東圏の大学に勤務する非常勤講師の組合として結成されました。2012年の労働契約法改正によって、非常勤講師にも無期転換の期待が高まりましたが、多くの大学が契約更新に5年の上限をかけようとしました。

 そこで2013年4月、就業規則作成の不備を突いてまず早稲田大学を刑事告発しました。早稲田との闘いは困難な道のりでしたが、20数回の団交を経て、2015年11月に和解となりました。その結果、早稲田では約2000人の非常勤講師に無期転換が認められ、大幅な賃上げ等の画期的な成果を得ることができました。そして多くの大学で無期転換権の 獲得に成功しました。

 しかし一方で労契法を無視し、ひたすら金儲けに走る大学もあります。どうしても無期転換させたくない大学は、3千人以上に及ぶ非常勤講師を切り捨て始めました。それが日本大学です。昨年11月、日大が2016年度に新設した「危機管理学部・スポーツ科学部」が突然、15名の英語の非常勤講師に対して雇い止めを通告しました。専任教員以外の全員です。彼らはいずれも学部の完成年度まで、つまり今後4年間は継続して勤務してほしいとの但し書きつきで採用されています。ちなみに日大アメフト事件の、内田正人監督が人事担当常務理事であったことは、皆さまも報道でご存知でしょう。「寝耳に水」の話に驚いた講師たちが、組合に駆け込み、団交が始まりました。組合は当初、これは契約違反であり、大学設置基準にも違反するため、その点を指摘すれば解決すると考えていました。

 ところが日大は人事担当理事が出席せず、雇い止めの合理的な根拠も説明せず、回答できる担当者がいないとして毎回回答を持ち帰り、その後ゼロ回答を文書で寄こすという不誠実団交を繰り返しました。また理事会の内部文書には、「非常勤講師に無期転換権の発生を認めることは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きい」として5年上限をかけることが明記されていました。今回の、4年以上という約束を破棄して2年で雇い止めにしたのも、昨年度中に雇い止めしないと、他学部との通算5年で無期転換してしまうことに気づき、予定を変更したものと思われます。そして3月、ついに大学は15名の担当授業を外部の語学学校に委託したことを認めました。

 これまでに明らかとなった日大の無期転換対策は以下です。
(1)非常勤講師の研究生活の安定を否定し、今後は5年上限を強化する。
(2)特に非常勤講師を必要とする語学は外部の語学学校に委託し、表向きは専任教員とのペア授業という名目で偽装請負にしていく。
(3)少子化対策と称して今後総授業数を2割削減し、現在の3千人以上に及ぶ非常勤講師を段階的に雇い止めにする「非常勤講師ゼロ化計画」を推進する。
(4)それと引き換えに専任教員の労働強化を図り、今後専任の担当授業数を6割増やす。
つまり日大は非常勤講師を将来的には限りなくゼロにし、専任の労働強化と外部委託で運営していこうとしています。しかしこれは高等教育の意義を完全に破壊する計画です

 第1に、日大は経営困難ではなく、上位3校に数えられる経営良好な大学です。しかし、少子化の今こそ教員の研究生活を豊かにし、学生への充実した教育研究環境を整えようとするどころか、授業の一部を外部へ丸投げしてコストダウンし、さらなる増収を図ろうとしています。

 第2に、大学の教員は授業時間と同等以上の研究時間が必要です。専任の労働強化は必然的に研究時間を奪うものであり、専任教員の研究成果や意欲を減少させ、大学教育の質を絶対的に低下させます。私たちは非正規労働者としてだけではなく、教育研究者としてこの問題を見逃すつもりはありません。現在、当組合は700人に近づく勢いで加入者が増え、労契法改正当時約300人だった組合員数は2倍を超えました。日大関係者だけで、すでに60人を数えています。

 今月末には、日大の非常勤講師が集団で民事訴訟を行います。ご支援をよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。


首都圏大学非常勤講師組合
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