去る2004年7月28日に、首都圏・関西圏・UTUの三組合が合同で、文部科学省に対して陳情を行いました。組合が提出した要請書と資料を以下に掲載します。
2004年7月28日
文部科学大臣
河村 建夫 殿

要請書

首都圏大学非常勤講師組合
委員長:(省略)

関西圏大学非常勤講師組合
委員長:(省略)

全国一般労働組合
東京南部大学教員支部(UTU)
委員長:(省略)


 前回の陳情以来、文部科学省の適切な対応により、専業非常勤講師の生活・待遇の低下は阻止されつつあります。特に各国立大学への、15文科人第326号・平成16年3月15日「法人化後における非常勤講師の給与について(通知)」、また今年度私学助成金における非常勤講師給の補助単価の1.5倍増額など、文部科学省の大学諸制度に対する「均衡処遇」の見解を示すものとして、高く評価しております。
 しかしながら、国立大学法人化後の非常勤講師給の変動について組合で調査いたしましたところ(別添1)、今もなお一部の大学では問題が解消されず、文部科学省の「均衡処遇」のかけ声とは反対に、国立大学の専業非常勤講師にとって不当な賃下げが放置されています。また、私立大学においても、補助単価の増額に対し認知されておらず、逆に非常勤講師給を引き下げようとする大学があります。
 そこで今回は、早急に解決すべき国立大学法人化後の問題を中心に、重要項目を絞りました。文部科学省の見解をより確実に各大学へ周知していただくべく、大学の専業非常勤講師をはじめとする不安定雇用教員の「均衡処遇」の推進に向けて、以下の点をご検討いただきたく、要請いたします。

1.国立大学に関して

(1)(別添資料1)のように、国立大学の非常勤講師給与の引き下げが、15文科人第326号の通知後も改められていない大学が複数あります。例えばA大学は、新聞記事(別添資料3)によれば専任教員の定期昇給不足分4400万円を捻出するためと称し、実際に非常勤講師給を段階別に引き下げました。結果として2000万円の余剰金が生じたそうですが、次年度繰越とされています。余剰金を作るために非常勤講師給を引き下げることは、そもそも文部科学省の「均衡処遇」見解に反するものであり、いわゆるパート労働法違反です。この大学を含め、別添1の資料にある全国国立大学の非常勤講師給引き下げ実態に関し、担当課からの実態把握と対処をお伺いします。

(2)団体交渉を行ったB大学において、今まで非常勤講師には有給休暇が保障されていることが分かりました。しかしそれが告知されておらず、利用ができませんでした。そこで、担当課より全国の国立大学の非常勤講師の有給休暇について、実態把握と周知徹底を要請いたします。

(3)2002年12月に文部科学省が金田議員に提示いたしました、某国立大学・非常勤講師の給与算定表が、今年度私学助成における非常勤講師補助単価の算定基準となりました。しかしながら組合が調査した範囲(別添資料2)では、実態はもっと低いところばかりで、某国立大学が存在するのかどうか疑問です。そこで、金田議員に提示いたしました大学の名称と、全国国立大学の非常勤講師の給与算定表の公開ないし実態調査を求めます。

(4)複数の国立大学で団体交渉を行った際、大学当局から、今年度より文部科学省の非常勤講師給の予算が0になったという、いわゆる「ゼロ査定」の話を聞いています。また、今年度は学内措置で何とか捻出できたが、来年度は無理なので非常勤講師の数を削減したいという大学もあります。文部科学省としては、今後も人件費の積算については維持されることを明示し、存在しない「人件費予算の削減」を口実とした賃下げや雇い止めは認められないことの周知徹底を求めます。

2.私学助成金について

(1)私学助成金において、ほぼ22年ぶりに非常勤講師給与の補助単価が1.5倍に引き上げられたことは、高く評価しております。しかしながら各私立大学における認知は低く、団体交渉においてこちらから指摘しなければならない状況です。そこで、私学助成金における非常勤講師給与・補助単価引き上げについて担当課より周知徹底の対策をお伺いします。

(2)2004.7.17の朝日新聞記事(別添資料4)によれば、私立大学における専任教員の雇用保険加入率の低迷に対し、厚生労働省が対策をとることが公表されました。日本私立大学連盟は「(1)私大教員には強い身分保障がある」としていますが、非常勤講師に対して、それは当てはまりません。そこで本来、非常勤講師に対しても負担すべき労災保険・雇用保険について、前回同様、その促進と実態把握のため、まず私学助成金に非常勤講師の労災保険・雇用保険の費目の設定を求めます。

(3)(2)を推進するために、前回同様、私学助成金に専任教員の雇用保険の費目を設定することを求めます。

(4)15文科人第326号の通知は、全国の国立大学に文部科学省の「均衡処遇」の見解を周知させる大きな効果がありました。しかし既に、いわゆるパート労働法の対象となっている各私立大学においても、国立大学と同様の問題が生じています。そこでパート労働法の遵守と均衡処遇を周知徹底させるため、国立大学と同様の非常勤講師給与に関する通知の送付を求めます。

以上

別添資料
  1. 国立大学の非常勤講師給に関する動向一覧
  2. 国立大学の非常勤講師給与算定表
  3. 「福教大、2000万円人件費余る 「不足」の説明を撤回−−04年度」(毎日新聞 西部夕刊 2004.03.27 7頁)
    「福教大 人件費2000万円余る 『不足』一転、混乱さらに」(西日本新聞 夕刊 2004.03.27 10頁)
    「福教大、人件費2000万円余る 不足説明から一転 2004年度試算=福岡」(読売新聞 西部朝刊 2004.03.28 30頁)
  4. 「私大教員の8割が雇用保険未加入 強制視野に厚労省指導」(朝日新聞 Web 07/17 15:20)

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