以下 は、文部科学省・厚生労働省に対する陳情(2002年9月19日、於参議院議員会館第3会議室)における要請書 (テキスト)です。

*   *   *

2002年9月11日

文部科 学大臣

遠山  敦子 殿

 

要請書

 

首都圏大学非常勤講師組合

 ・・・中略・・・

京滋地区私立大学非常勤講師組合

 ・・・中略・・・

阪神圏大学非常勤講師労働組合

 ・・・中略・・・

全国一般労働組合東京南部大学教員支 部(UTU)

 ・・・中略・・・

 

 本年 2月の陳情交渉において私たちは、わが国の高等教育機関に おける不安定雇用教員(「コマ切れ・掛け持ち」型パート労働者の典型である 専業的非常勤講師、および外国人教員)の実情を訴え、劣悪な処遇の改善に資 する施策を求めました。

 その 後この問題は、4月2日に林紀子議員が参議院・文教科学委員会で、7月22日に金子 哲夫議員が衆議院・決算行政監視委員会で、それぞれ質問して取り上げまし た。前者における質問と答弁においては、不安定雇用教員の実態が殆ど把握さ れていないことが判明しました。後者における質問と答弁においては、厚生年 金などの社会保険の合算規定が問題点であること等が判明しました。二つの質 問に対する答弁は、不安定教員を適切に遇し、もって高等教育を改善・発展さ せようという政府の気概も展望も感じられず、大いに失望したと言わざるを得 ません。加えて、厚生労働省パートタイム労働研究会最終報告「パート労働の 課題と対応の方向性」においては、改善方向は一定示されているとはいえ、 「同一(価値)労働同一賃金」の考えに立脚した労働時間による差別的な取り 扱い禁止の立法化の方向が目指されておらず、不満の残るものとなっていま す。

 そこ で改めて、専業的大学非常勤講師と外国人教員に注目して、均等処遇を効果的 に推進し、もってわが国の高等教育の充実をはかる観点から、以下の点をご検 討いただきたく、要請するものです。

 

 

1)遠山文部科学大臣は参議院・文教科学委員会で 「今後必要に応じて調査していきたい」と答弁しました。そこで、全国的な実 態調査を継続的に実施し、処遇の継続的改善に結びつけることを要請します。 当面、来年度に最初の実態調査を実施することを要請します。調査項目には以 下を盛り込むことを、ご検討下さい。

 

1>非常勤講師等(本務別)への依存(人数、コマ数)の実 態

2>非常勤講師等の労働条件(賃金、夏季・冬季の一時金、 退職金、交通費、私学共済・健康保険・雇用保険・健康診断など福利厚生制 度、労災保険、パート労働法遵守状況、等々)の実態

3>非常勤講師等の研究・教育条件(控室、研究室、研究 費、教材費・コピー費、PCなど各種機器類・図書館などの利用状況、その他) の実態

4>専業非常勤講師・外国人教員(任期付き)の生活実態

5>教員(専任及び非常勤)任用における女性・外国人等へ の差別の実態、外国人教員制度の運用実態

 

2)語学教育を中心に外国人教員の任用が進んできて いますが、任期付き雇用が中心で、報酬その他の処遇面でも、正規の専任教員 に著しく劣る場合が目立ちます。そこで、上の調査においては、この点も配慮 するとともに、直ちに任期の定めを外すなど外国人差別を是正する施策に着手 することを要請します。

 

3)不安定雇用教員の処遇を改善するため、私学助成 における経常的経費の費目充実と助成額アップ(私立大学等経常費補助金取扱 要領などの改善)に直ちに着手することを要請します。

 

4)非常勤講師等とりわけ専業的非常勤講師に対し て、独自の枠を設けるなど、科学研究費申請の門戸を大幅に拡大することを要 請します。

 

5)「コマ切れ・掛け持ち」型パート労働者である専 業的非常勤講師は、社会保険の現行諸法でも、合算規定の対象者に該当すると 思われます。

 年金 および健康保険については、厚生年金法第二十四条第二項に複数事業所勤務者 の給与合算により標準報酬を算出することが、同施行令第四条に各事業主への 保険料負担の案分が規定され、健康保険法第三条9項に複数事業所勤務者の給与合算により標準報酬を算出すること が規定されています。また、労働省法規課『口語労働法』は、「事業場を異に する場合、たとえ使用者が違っていても労働時間を通算する。学生アルバイト やパートタイム労働者が1日に2つの事業場を掛け持つ場合に、もとより適用が ある」と解説しています(労働基準法第38条)。関連して、社会保険庁のパン フレットには、特殊技能を持っている人が合算規定対象者として記載されてい ます。

 以上 については実例もあり、例えば東京都立の学校では、非常勤講師(殆どが複数 校の掛け持ち)が通算週20時間以上勤務しており、雇用保険に加入しています。日雇い労 働者や季節労働者の雇用保険の場合、使用者が違っていても複数事業所・使用 者のもとでの労働日数が通算されています。

 社会 保険諸法においては、もともと合算ないし通算は規定されていると思われます ので、これら規定の遵守を指導することを要請します。もし、非常勤講師等が それに該当しない理由があるとすれば、それは何か、明示することを求めま す。加えて、いわゆる4分の3の要件(旧厚生省1980年内簡)の法的根拠と効力を明示す ることを求めます。

 

6)適切な部局・審議会・研究会などにおいて、不安 定雇用教員にも配慮する方向で、処遇改善に資する施策を検討・実施すること を要請します。

 

7)ILO「パートタイム労働条約」(175号、1994年採 択)、ユネスコ勧告「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」(1997年総会 採択)については、採択から既に久しく、わが国の制度・法律・政策に迅速に 具体化することを要請します。

 

以上

*   *   *

2002年9月11日

厚生労 働大臣

坂口  力 殿

 

要請書

 

首都圏大学非常勤講師組合

 ・・・中略・・・

京滋地区私立大学非常勤講師組合

 ・・・中略・・・

阪神圏大学非常勤講師労働組合

 ・・・中略・・・

全国一般労働組合東京南部大学教員支 部(UTU)

 ・・・中略・・・

 

 本年 2月の陳情交渉において私たちは、わが国の高等教育機関に おける不安定雇用教員(「コマ切れ・掛け持ち」型パート労働者の典型である 専業的非常勤講師、および外国人教員)の実情を訴え、劣悪な処遇の改善に資 する施策を求めました。

 その 後この問題は、4月2日に林紀子議員が参議院・文教科学委員会で、7月22日に金子 哲夫議員が衆議院・決算行政監視委員会で、それぞれ質問して取り上げまし た。前者における質問と答弁においては、不安定雇用教員の実態が殆ど把握さ れていないことが判明しました。後者における質問と答弁においては、厚生年 金などの社会保険の合算規定が問題点であること等が判明しました。二つの質 問に対する答弁は、不安定教員を適切に遇し、もって高等教育を改善・発展さ せようという政府の気概も展望も感じられず、大いに失望したと言わざるを得 ません。加えて、厚生労働省パートタイム労働研究会最終報告「パート労働の 課題と対応の方向性」においては、改善方向は一定示されているとはいえ、 「同一(価値)労働同一賃金」の考えに立脚した労働時間による差別的な取り 扱い禁止の立法化の方向が目指されておらず、不満の残るものとなっていま す。

 そこ で改めて、専業的大学非常勤講師と外国人教員に注目して、均等処遇を効果的 に推進し、もってわが国の高等教育の充実をはかる観点から、以下の点をご検 討いただきたく、要請するものです。

 

 

1)「コマ切れ・掛け持ち」型パート労働者である専 業的非常勤講師は、社会保険の現行諸法でも、合算規定の対象者に該当すると 思われます。

 年金 および健康保険については、厚生年金法第二十四条第二項に複数事業所勤務者 の給与合算により標準報酬を算出することが、同施行令第四条に各事業主への 保険料負担の案分が規定され、健康保険法第三条9項に複数事業所勤務者の給与合算により標準報酬を算出すること が規定されています。また、労働省法規課『口語労働法』は、「事業場を異に する場合、たとえ使用者が違っていても労働時間を通算する。学生アルバイト やパートタイム労働者が1日に2つの事業場を掛け持つ場合に、もとより適用が ある」と解説しています(労働基準法第38条)。関連して、社会保険庁のパン フレットには、特殊技能を持っている人が合算規定対象者として記載されてい ます。

 以上 については実例もあり、例えば東京都立の学校では、非常勤講師(殆どが複数 校の掛け持ち)が通算週20時間以上勤務しており、雇用保険に加入しています。日雇い労 働者や季節労働者の雇用保険の場合、使用者が違っていても複数事業所・使用 者のもとでの労働日数が通算されています。

 社会 保険諸法においては、もともと合算ないし通算は規定されていると思われます ので、これら規定の遵守を指導することを要請します。もし、非常勤講師等が それに該当しない理由があるとすれば、それは何か、明示することを求めま す。加えて、いわゆる4分の3の要件(旧厚生省1980年内簡)の法的根拠と効力を明示す ることを求めます。

 

2)適切な部局・審議会・研究会などにおいて、不安 定雇用教員にも配慮する方向で、処遇改善に資する施策を検討・実施すること を要請します。

 

3)ILO「パートタイム労働条約」(175号、1994年採 択)、ユネスコ勧告「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」(1997年総会 採択)については、採択から既に久しく、わが国の制度・法律・政策に迅速に 具体化することを要請します。

 

以上

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