控室
首都圏大学非常勤講師組合
東京公務公共一般労働組合 大学非常勤講師分会
TEL 03-5395-5255
URL:http://f47.aaa.livedoor.jp/~hijokin/
2004年11月21日発行 第53号(WWW版)
委員長 志田 昇
FAX 042-627-4420
郵便振替口座
0140-90157425
大学非常勤講師分会

本号の主な内容
UTU Survey 2004 (2面)
団交・運動ニュース (3面)
大学ルネサンス(17) (5面)
詩集『控室の日々』から (6面)
都立4大学統合と非常勤講師の雇用問題(12) (7面)
クリップボード (8面)

私立大学で賃上げ回答続々
国公立は、埼玉大、横市大などで大量コマ数減

 私学助成の非常勤講師補助単価50%アップの影響で、交渉を行った大学では賃上げ回答が続々出ています。賃上げ回答を出した大学は次の通り。中央大学(最低給で月1コマ300円アップ、28800円に)、法政大学(最低給で月一コマ500円アップ、28600円に)、明治大学(最低給で1コマ100円アップ、30100円に)、駒澤大学(最低給で1コマ1600円アップ、26100円に)、桜美林大学(最低給で1コマ233円アップ、29400円に。ただし来年度から)、獨協大学(最低給で400円アップ、月1コマ26500円に)、東京薬科大(70分授業の手当が1回につき1300円アップ、最低9300円に)。その他ではまだ団交をしていない立教大で700円上がったという情報もあります。
 他方で、国立大学では、千葉大で非常勤全廃計画、埼玉大で非常勤60%削減、宇都宮大で50%削減などのリストラ計画が出ています。
このうち千葉大では、専任教員の抵抗が強く大部分の非常勤講師は雇用継続の見込みですが、埼玉大学では大量解雇が予想されます。埼玉大学に関しては、法人化後りそな銀行が事務局に参事を送り込むなど異常な事態が続いており、組合つぶしの疑いもあるため東京都地方労働委員会に救済の申立を11月5日に提出し、受理されました。今後の展開が注目されます。
 また、横浜市立大学では、大幅コマ数減が通告され、団体交渉を申し入れました。

GREAT NEWS FOR PART-TIME UNIVERSITY INSTRUCTORS

As the result of continuous petitions by the Tokyo-Area Part-time Teachers Union, along with assistance from other unions and numerous questions brought up in the Diet, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology substantially raised the government subsidy unit price from the 2004 academic year for all private university part-time instructors’ salaries by about 50 %.
In the case of the private university subsidy, which is tax money, the full-time instructor gets more of a share than part-time instructors. In an effort to reduce this kind of financial discrimination, even when the total sum of the private university subsidy does not increase as a whole, the part-time instructors’ auxiliary unit price should be increased. Otherwise, it will never be possible to close the huge gap between full-time and part-time subsidy benefits. Through collective bargaining with each university, we can look forward to negotiating salary increases for all part-time university instructors in Japan.
The next step is to ensure that the money from the subsidy is given to the part-time instructors and not misappropriated for other purposes. The Ministry of Education should recognize the human right of equal treatment and ensure that the money from the tax-funded subsidy reaches the part-time instructors. The Tokyo-Area Part-time Teachers Union and affiliated unions will seek the improvement of the private school subsidy mechanism, demand that “items of expense” be substantiated, request the disclosure of information, and ask that committees of the Diet keep everything in check. A member of the House of Representatives, Democratic Party member Seiichi Kaneda, agreed that there should be a system of checks and balances and said, “It should be made public how the tax-funded private university subsidy is actually used."
If you are a part-time teacher at a university in Japan and did not get a subsidy-based salary increase in April 2004, please feel free to contact us. We may be able to negotiate a salary increase for you.(MS)

UTU Survey 2004

The University Teachers Union (UTU) representing foreign teaching staff at universities in Japan, has carried out a nationwide survey, “Employment Conditions of Foreign Nationals at Japanese Universities.” About 350 full-time and part-time staff of 20 different nationalities ranging in age from 26 to 68 have replied to the questionnaire, many with additional comments on their experiences.
From the data received, UTU has conducted an analysis of the problems foreign lecturers face in connection with their work. A report on the survey and its results has been compiled and will be posted on UTU’s website http://www.utu-japan.org, where the survey questionnaire can also be viewed.
After further analysis and intensive discussion with the Part-time Lecturers Union- Tokyo Area, whose help was crucial in carrying out such a project, UTU has selected five major problems of foreign university staff. These will be presented as demands to the Ministry of Education and to the Ministry of Welfare and Labour at the beginning of 2005 to improve the working conditions for foreigners. UTU and the part-time lecturers unions of both the Tokyo Area and the Kansai are also considering the publication of the full report on the survey, the core demands presented to the ministries and the reactions of the ministerial bureaucrats on the demands, and other related problems.
UTU asks for the continued support of its activities to improve working conditions at Japanese universities. All interested teachers are welcome to join. Our special thanks go to our Japanese friends and colleagues of the part-time lecturers unions of Tokyo and Kansai for their liberality and energy, their practical assistance and unconditional support for the duration of this project.
HT-UTU

団交・運動ニュース

日本大学
 9月22日の夕刻、市ヶ谷の私学会館にて日本大学本部と団体交渉を行った。マンモス大学ゆえ議題は多岐に渡ったので、以下要点のみ記す。
 補助単価50%アップにともなう大幅賃上げの要求に関しては、大学側は「大幅賃上げは保証できないが」としながらも、平成17年度からの賃金の改定を検討することを約束した。しかし16年度4月分にさかのぼって支給することは拒否した。
 産前産後および育児休暇については、「労基の範囲で当然取得できるので、ぜひ取得して欲しい」とのこと。しかし、法定期間中80%の賃金を支払って欲しいという要求については、「労基になく難しい」として拒否した。更にこちらが「元々低収入なのに更に完全無収入になるようでは実際問題としてなかなか取得しづらい。私学最大手として、率先して少子化対策の模範を示して欲しい」と訴えたところ、大学側は反論不能であった。この問題は今後も毎回取り上げたい。
 大学が実施する本格的な健康診断を非常勤講師にも受けさせて欲しいという要求については、「学校保健法では常勤も非常勤も同じ扱いであるため、大学本部としては全員に必ず受けさせたい。各学部に要請している」とのこと。
 経済学部のカリキュラム改変に関しては、来年度の科目名の変更・セメスター制の導入・英語の授業の週2回化等が通達されている。これに授業担当者が一様に不安を抱いていることを伝え、説明会を開催して各担当者の細かい希望を聞くことと、来年度も今年度と同じコマ数を保障することを要求したところ、大学側は「分野別の説明会を実施し、コマ数も可能な限り保障する」と約束した。
 生産工学部で4月分給与が5月払いとなっている問題については、「大学としては改善したい。学部に要請する」とのこと。
 通信教育部スクーリングについて。現行では、6日間で半期分の授業を集中して行って120,000円しか支給されていない。これを最低でも1号俸27,700円の6倍の166,200円に改めることを要求したところ、現状では安すぎることを大学側も認め、「ただちに大幅増額はできないが」としながらも、改定をはかることを約束した。今年度はさしあたって3,000円アップして123,000円としたとのこと。
(文責:小S)

T大学
 授業時間短縮による1回当たりの授業単価の減少に、それまでの月額制から曜日による授業回数の調整がないままでの実績給与制が加わって、T大学では今年度から大幅に非常勤講師の待遇が悪化した。減額は年収ベースにして最大で3割にも達し、2年次以上の科目では減額はないものの、旧カリキュラム消化のために短縮された分の授業時間を補講として隔週行う(つまり同一科目を1コマ行うのは勿論、隔週でさらにもう1コマ分授業しなければならない)というきわめて変則的で、教員にとっても学生にとっても負担の重いカリキュラム改革であった。しかもこの待遇変更は新年度直前、3月22日付け文書によって初めて正式に通知され、これまでの信頼関係を根底から揺るがすようなやり方に、多くの非常勤講師は怒りと失望を禁じ得なかった。
 当初は大学側に良心的な説明を求めたものの、「不満があるなら最初から契約などしないで辞めて結構だ」との暴言まで飛び出し、一時は解決不可能かとも思われるような状況に立ち至っていたが、組合による都労委への不当労働行為救済申立が奏功し、その後は大学から誠実な対応を得ることができた。まず大きな成果としては、私学助成の非常勤講師補助単価50%アップを梃子に、授業のレベルと質の維持のために1回の授業につき1300円増という90分授業のときと遜色ない授業単価が得られたこと、しかも本年度4月に遡及しての支給が認められたことが挙げられる。また、もともと余裕のない時間割のなかで補講を実施するのは困難だという現状を鑑み、休講は大学事由でも個人事由でも補講を実施できなくても支給が認められるというきわめて良心的な措置が取られた。残る一点、実績制ながらも授業回数にばらつきがあることについては、曜日により4回もの差があったところを、2回差にとどめることができ、さらに来年度以降は一定になるよう要望した。こうした結果、授業の現場を無視しているとしか思えなかった待遇改悪については、ほぼすべてこちらの主張が受け入れられ、大幅な回復が図られることとなったのである。
 大学と非常勤講師との関係が改めて問われることになった今回の経緯は、今後もいっそうの大学改革が予定されているなかで、ひとつの指針となるように思われる。夏以降の大学側の態度は申し分のない誠実なものであったことを申し添えて、今後の変革の動向にも注目していきたい。(KK)

A短大事件和解で解決
 不当解雇事件で裁判に訴えていたA短大事件は、最高裁への上告が棄却され、高裁判決が確定し敗訴しましたが、高裁判決では大学非常勤講師にも雇用継続の期待権があることが初めて認められました。なお、この事件は判決後、本人の納得できる形で和解が成立しました。3度に及ぶオープンキャンパス宣伝などが効を奏したとみられます。

スキルムントさんを支援する会
 スキルムントさんを支援する会から最終報告をいただきました。敗訴という残念な結果でしたが、ご支援いただいた多くの方々に当組合からも改めてお礼申し上げます。

大学ルネサンスーその17−
不況、コスト削減、トーイックの連鎖と大学教育

 トーイックとは何か。2,3年前はひとつの資格試験にすぎないと思われたトーイック試験が大学の英語カリキュラムにお目見えし、トーイックによって能力別にクラス分けがされ、教材にもトーイックと題のつくものが売れる。「TOEIC戒厳」のタイトルの新聞報道によると、試験中はくしゃみや咳を控えるようにという一文のあるしおりがトーイック受験者に配られたという。トーイックの点によって大学の単位認定をし、授業は免除する、いや、トーイックなど資格試験の高得点の学生には大学の授業を受けさせないといった大学まである。
 そもそも、トーイック試験は企業が国際業務専従者や海外出張者に対して一定の英語力を求める試験として、あるいは一部企業では昇格試験に利用されていた。近頃では、独自英語試験のコスト削減のために、大手企業をはじめとする就職試験に広く用いられている。補助金を授業料に当てることのできる失業者を対象とするトーイック講座は語学学校の人気講座である。就職、進学に利用されてきた各種試験としては英語検定があり、こちらは高校大学受験推薦のポイントとしても長らく利用されてきた。しかし、英検は、文部科学省の認定が外れたこと、試験に二次試験があり時間とコストがかかることなどなどの事情が重なり、年間受験者数が大幅に減少し、トーイック並みに手軽な実用試験を作ったばかりである。就職難の時代トーイック試験の人気はうなぎのぼりであり、就職に役立つと後押しする大学も多い。文部科学省もカリキュラムをトーイック中心とした大学を評価している。
 しかし、当の学生は、トーイックを英語教育の専門分野に入れている大学教員に対しては意外にも冷ややかである。トーイック試験対策のクラスでは、時間のかかる「読み」能力ではなく、内容文法のさほどの困難を伴わない「聞く」訓練によって点数を上げることで確実に英語の「能力」を上げるが、半期あるいは一年の大学の授業をトーイックのためにあて、200点を300点に、あるいは400点に上げたとして、その程度の点数では、就職のために履歴書に書くことはできない。もともと500点前後レベルの学生は、自習で十分試験の点は上がる。必修授業を全面的にトーイック対策にした場合、授業の評判は悪くなる。600点以上を取った学生は「就職用履歴書に英語の点でも書いておかないと」と言うが、たとえ900点を取ったとしても、英語を使う職場では英語力だけではなんともしがたい。だから、その気になれば英語を使えるだけの勉強の基礎はあるという証明に学生は試験を受け、企業も利用する。また、「聞く力」は中断すれば容易に落ちるということもわかっている。リスニングの試験にトーイックの形式を利用する教員は多いが、授業を全面的にトーイック対策に当てることには疑問を持っているし、高得点を取ったがゆえに授業の権利を奪われた学生のなかには、大学のカリキュラムシステムに不満をもらす者もいる。資格試験の点とは別に大学での授業を受けたいというのが、学生の希望である。資格試験は学生の目標設定には有効であるが,大学がそれをもって単位認定し授業数を減らすのには疑問がある。トーイック試験には作文と話す表現を問う試験がない。
 資格試験の問う能力に答えることを大学教育の目標にすることで、あるいは、教育目標を語学学校並みに資格試験と技術とに限ることで、大学は語学教育の持つ多様な可能性を切り捨てることになる。大学教育が目指すものは、英語を使ってどう試験をパスしお金をもうけるかを考える学生ではなく、世の中にどう貢献できるかを考えることのできる学生であり、教育の効率化とは、授業にかかる人件費の削減ではない。大学は、就職難の時代に生まれたトーイック受験熱を隠れ蓑に授業をなくし、コスト削減を図るのではなく、学力を保証する授業を学生に多く提供することである。(兎)

詩集『控室の日々』から

十年

十年勤めて私の居場所が見出せない
彼女が言った
十年―
私はめまいがした
ふたり子を産み、その子が小学生になるまで
彼女はこの狭い控室で
決まった席もないまま
ずっと座りつづけてきたのだ
ひとつの職場にこだわり続けた彼女の十年を
誰が、笑えよう
転々と職場をめぐってきた私の十年は
この控室で彼女の十年と出会った
積み重ねても積み重ねても
ゼロにしかならないふたつの十年
勤務歴にも保障にもつながらない
私たちの日々は
重ねれば重ねるほど
恥と偏見に塗り込められていく
十年―
口を閉ざし、うつむきかげんに
彼女は同じ道を通い続けてきたのだ
その執着を
誰が、笑えよう

東京都立4大学統合と非常勤講師の雇用問題(12)

 首都大学東京が正式に認可され、来年開学することになった。4大学統合ではなく4大学廃止、そして新大学へ。「大都市」をキー概念に学部構成、人事体制が組織される。しかし、設立経緯や大学のあり方から、そのイメージは一言でいって「得たいの知れない大学」であるといえる。なかでも「都市教養学部」の構成は異様だ。都市教養学科の都市政策コースは人文社会系(社会学、心理学・教育学、国際文化各コース)法学系(法律学、政治学各コース)経営学系(経営学コース)理工学系(数理科学、物理学、化学、生命科学、電気電子工学、機械工学各コース)があるが、学科もコースも各1つだけである。もともとの独立学部をその歴史的形成過程を捨て去って無理やり「大都市」概念で包み込んだ、そのことからくる違和感はとうていぬぐいきれない。アメリカ人のジョークに「テキサス州の住民はテキサスがアメリカよりも広い」と自慢するというのがある。都市教養学部はその意味で、本末転倒した学部構成のようにみえてしまう。現にオープンキャンパスで、学部責任者は「人文、法のコースでやることはいままでと変わらない」と説明した(都市教養ってなんだ?)。得たいの知れなさは「危うさ」を連想させる。新大学移行に際し、教員は他大学へ転籍、首都大へ転籍、転籍拒否などにわかれた。職員も多くは転籍を望んでいない。首都大説明会参加者は例年の半分。ベネッセ模試(全国36万人)でも経営学コース志望はたったの2名。それでも首都大は「得たいの知れなさ、危うさ」をますますあらわにして船出する。相当数の専任教員と非常勤講師ほぼ全員の大規模リストラを強行しながら。
 そしてなによりも首都大は、公立大学の「変質」が夜間部課程、短大の廃止、非常勤講師のクビ切りというもっとも抵抗力の弱い部分の切り捨てからはじめられ、そのことによって全国に先駆けてその手本を示したという意味で語り継がれるのかもしれない。(TW)

クリップボード

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 組合員か否かを問わず随時受け付けます。掲載段階で匿名は可能ですが、連絡先はご通知ください。プライバシーは厳守します。電子メールによる原稿を歓迎します。短い記事や通信は送信者に断りなく「組合員の声・読者の声」などに匿名で掲載することがあります。原稿の送り先は以下の通り。
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(2) 公募情報などの収集・配布
 大学教員等の公募情報を電子メールで送信します。受信希望者は下記まで。ただし当方の都合による遅れ・中断・中止もありえます。公募情報・情報源情報を下記連絡先までお寄せいただければ幸いです。
【E-mail】sida@...
(3)『控室』の配布
 本紙をメールボックスに投函できる大学にお勤めの方は、本部までご連絡ください。執行委員が配布に伺います。
(4) 組合への加入
 当組合に加入をご希望の方は題字下の組合本部に電話で、または委員長宅にファックスでご連絡ください。
(5) 組合ホームページのURLが11月8日より変わりました。
プロバイダーがライブドアに吸収合併されたためです。新URLはこちらです:
http://f47.aaa.livedoor.jp/~hijokin/
【編集後記】毎年、年末、学期末のこの時期の編集に一番苦しみます。(行)


大学非常勤講師の実態と声 2003
大学非常勤講師組合実態調査アンケート報告書
A4版 108頁/残部僅少
 お問い合わせは東京公務公共一般労働組合本部まで 

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