『控室』第44号

2002年9月15日発 行)

 

    首都圏大学非常勤講師組合

    東京公務公共一般労働組合 大学非常勤講師分会

    TEL 035-395-5255

    URL:http://www.os.rim.or.jp/~town/univ/univers/html

    委員長 志田 昇(TEL/FAX 042-627-4420)

    郵便振替口座 0140-90157425 大学非常勤講師分会

 

−−−本号の主な内容−−−

◆スキ ルムント事件抗議声明(4面)

◆団交 ・運動ニュース(4面)

◆大学 ルネサンス(5面)

◆連載 ・都立4大学統合と非常勤講師の雇用問題 3(7面)

◆クリ ップボード(8面)

◆付録 ・非常勤講師の社会保障問題、衆議院で質問

*   *   *

パート議連に働きかけ・・・

厚生年金・健保加入を阻む「コマ切れ掛け持ち問題」を説明

 

<パー ト議連とは>

 現在 厚生労働省は、来年に迫っているパート労働法の改正に向けて、「パート労働 研究会」を持ち検討を進めています。今年2月にはこの研究会の『中間取りまとめ』が出されました。これに 対して、4月に野党の議員の中から「正社員とパート等非正社員との間の労働 条件や待遇の差別を是正し、均等処遇原則の確立を求めて、立法も視野に入れ た調査研究を深め、積極的な意見表明をするとともに、均等処遇を求める現場 の運動や取り組みと連携していく必要がある」ことから、「パートタイム労働 者等の均等処遇を実現する議員連盟」(通称「パート議連」)が誕生しまし た。現在、民主党、共産党、社民党、無所属の衆参議員54名が参加しているそ うです。

 パー ト議連は、これまでに5回の勉強会を開き、先のパート労働研究会の『最終報告』に向け て次の6点からなる意見書を提出しました。

1) 労働時間の違いを理由とする差別的取扱いを禁 止すること。

2) 有期契約を理由とする差別的取扱いを禁止する こと。

3)働く人のライフスタイルに合わせて、フルタイム ・パートタイム労働の双方向の「転換」を可能とする制度を整備すること。

4)これらの法的、制度的整備は、民間のみならず公 務部門においても講じるべきものであること。

5)個人のライフスタイルの選択に対する中立性を保 つよう、税制・厚生年金制度等を改正すること。

6)ILO第175号(パート労働)条約、第111号(差別待 遇)条約の批准を早急に実現すること。

 これ らの項目から明らかなように、「主婦のパート労働」に典型的な日本の不合理 な雇用慣行を改善し、パート労働者の均等待遇原則を実現しようとするもので す。

 

<われ われの組合を紹介>

 上記 の点は、私達の組合の合意と同じで賛成です。しかし、「厚生年金制度の改 正」で、制度への加入条件が現行の「おおむね4分の3」から「2分の1」、つまり時間数で言うと「週20時間以 上」となっても、大学非常勤講師のような「コマ切れ掛け持ち」パートの働き 方の場合は、まったく埒外になるという、私たちが「コマ切れ掛け持ち問題」 と呼んでいる問題については、まったく検討されていません。そこで、この間 3回にわたってパート議連への働きかけを行いました。(なお、厚生労働省の 「パート労働研究会」には接触を断られました。)

  6月5日には、パート議連の公開ヒヤリングに参加。村山副 委員長が首都圏の学非常勤講師組合を紹介し、主に大学の非常勤講師という存 在がどのようなものであるか、専業の非常勤講師がどんなに劣悪な条件の中で 大学教育を支えているかといった点を強調する報告を行いました。あまりに賃 金が安いので会場から驚きの声が上がったそうです。議員14名、秘書14名、計 28名の参加で、われわれの組合のほかに自治労、全統一千葉が報告しました。

  7月1日に行われたパート議連のシンポジウムでは、佐藤書 記長が発言しました。発言時間が4分に限られていたので、文書で大まかな説 明をしただけでしたが参加者が100名と多かったので、組合の宣伝にはなりま した。われわれの組合のほかに、連合、全労連、日本経営団体連合会などから の発言がありましたが、聞いていて、われわれの上部団体である「東京公務公 共一般労組」の、パート労働者の雇い止めを阻止する闘いが、貴重であること が分かりました。

 

<パー ト議連に「コマ切れ・掛け持ちパート問題」を訴える>

 組合 は、この春の厚生労働省交渉でも、事業所が複数になる「細切れ掛け持ちパー ト」の働き方でも、合算して厚生年金制度への加入を認めるように主張してき ました。しかし、大学非常勤講師の働き方がなぜコマ切れになるのか、なぜそ れが必然的なのかということは、大学の外の人々にはなかなか分かりにくいの です。専任教員の働き方ですら、大学の外の人々には説明が必要です。

 そこ で組合は、このパート議連に「コマ切れ・掛け持ちパート問題」にしぼった説 明を行いたいと申し入れました。幸い、民主党の川橋幸子議員の御尽力で、会 期終了直後の8月7日、私たちの組合から話を聞く勉強会を開いていただくこと ができました。

 

<大学 非常勤講師の掛け持ちの実態>

  8月7日のパート議連の勉強会は、約30名の参加者で、組合 からの報告は志田委員長が準備し、書記長の佐藤が行いました。強調したのは 次の3点です。

 まず 始めに、語学と歴史の二人の組合員の2002年週間講義予定を示し、二人がそれぞれ、5大学22コマ、6大 学9コマをどのように苦労してこなしているか、移動時間も交えて具体的に説 明しました。語学では、ほとんどの大学が4コマほどのコマ数制限をしている こと、「アフガン現代史」(例)の講義はたとえ200人の受講生がいても一大 学で1コマにしかならないことをあげ、大学の非常勤講師の働き方が必然的に 「コマ切れ掛け持ち」になることを分かってもらいました。

 

<一般 の掛け持ちパートは過労死・低賃金の最前線>

 次に 強調したのは、「掛け持ちパート」が教育関連のパート教師(塾・予備校・中 学・高校・専門学校)でも一般的であること、母子家庭の女性のように、低賃 金ゆえに健康を犠牲にしてまで長時間の「掛け持ちパート」をしている複合就 労者(二つ以上の場所で働く、恒常的な掛け持ち就労・多重就労者)が存在し ていること、また、近年増加しているフリーター青年の中には、低賃金のため に週40時間以上掛け持ちで働くパート労働者が珍しくないという点で す。ですからパート労働法を改正し、いわゆる「主婦パートの130万円の壁」 を半分に引き下げて厚生年金への加入を促すつもりでも、雇用保険・社会保険 加入を免れようとする事業者によって新たに「65万円の壁」が形成され、ます ます掛け持ちパートが広がっていくことが十分予想されると指摘しました。こ のように、組合が準備した報告では「掛け持ちパート」という働き方が、決し て大学非常勤講師だけの特殊な問題でないことを強調し、この問題をパート労 働法の改正の中で重要な問題の1つとして位置づけるよう訴えました。

 

<現行 法で厚生年金・健康保険に加入可能なはず!>

  3点目の重要な点は、厚生年金と健康保険については現行の 厚生年金法(第24条)・健康保険法(第11条)の中に「二以上の事業所で報酬 を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合・・・合算額をそのものの 報酬月額とする」とあり、「掛け持ちパート」でも合算して加入することが可 能なはずだということです。この点は、京滋地区私立大学非常勤講師組合の福 田書記長が専門的に検討し、厚生労働省交渉でもすでに追及しています。

 そも そも労働基準法は38条で、事業場を異にする場合も労働時間を合計するよう定めて います。労働省法規課の『口語労働法』は、「事業場を異にする場合、たと え、使用者が違っていても労働時間を通算する。学生アルバイトやパートタイ ム労働者が1日に2つの事業場を掛け持つ場合に、もとより適用がある」として います。もしこの合算という考え方がないとすれば、1日8時間労働の原則も、 残業手当の割り増し原則も、ないも同然になってしまいます。パート労働者の 場合、合算がされずにないも同然になっているのが現状ですが、こうした現状 の方が脱法状態なのであって、掛け持ちパートの労働時間の合算を保証する制 度が創設されるべきであることを提起しました。

 

<出された2つの質問>

 組合 の報告を聞いた議員の中から、2つの質問が出されました。1つは、私学共済への加入は希望して いないのか、ということです。確かに私学共済のほうが厚生年金よりもかなり 有利です。(30歳から1コマ27000円で10コマを担当して働き始め、生涯独身と して79歳までの時点でどれだけ受給額に差が出るか・・・福田氏の試算に拠れ ば、国民年金・国民健保の場合と厚生年金・健康保険の場合との差額は1596万 円、私学共済・健康保険の場合との差額は2089万円。)しかし、@国公立大学 をカバーしない、私学共済に加入していない私大も多い、私学共済法には厚生 年金法にあるような合算の規定がない、というわけで、組合は厚生年金への加 入を追求することにしているのです。

  2つ目は、どういう制度がいいのかということです。掛け持 ちパート労働の合算のシステムを創設するということは、増加しつつあるパー ト労働全体にかかわる大問題で、重要ではありますがわれわれの組合にすぐ提 案を出す用意はありません。しかし、とりあえず大学非常勤講師の場合に限っ て考えるならば、このIT時代に文科省が何らかシステムを作ることは可能だと いえるでしょう。むしろ、議員の方たちにも一緒に考えてほしい、とお願いし てきました。

 以上 がパート議連の勉強会で、「コマ切れ掛け持ち問題」について報告した内容で す。終わってからも、議員や秘書の方たちがいろいろと質問してくるなど、大 事な問題だとの印象を持ってもらえたと思っています。このパート議連への働 きかけが、9月中旬に予定される対文科省・厚労省交渉に生かされることを期 待しています。(佐藤)

 

 

スキル ムント事件最高裁判決に対する

抗議声 明

 

 

 最高 裁は、4月25日、スキルムント事件(1997年に筑波大学がスキルムント氏 を解雇した事件)に関して、形式的理由から上告棄却の決定を下し、東京高裁 の不当判決(契約期限満了によるものなので、解雇は有効とした判決)を、事 実上追認しました。

 この 判決は、不当な手段によって入手した医療情報(しかも任期中に死亡の可能性 が高いという誤った情報)に基づき、大学がスキルムント氏を解雇したこと を、期間満了というだけの理由で有効とする、不当で非人道的なものと言わざ るを得ません。

 当組 合は、スキルムント氏が組合に加入して以来、「スキルムントさんを支援する 会」とともに、署名運動やカンパで裁判闘争を支援してきましたが、今後もこ の事件に関して、引き続き奮闘する事を表明します。

 

2002年6月2日   首都圏大学非常勤 講師組合

 

 

団交・ 運動ニュース

 

 

法政大 学

 法政 大学では、第一次団体交渉のゼロ回答に対して、なんとしても単価の増額を求 めて、6月30日に第二次団交を行いました。結果は、第9号俸を除いて各 号俸300円の月額アップという状況で、組合員の期待を裏切る当局の姿勢が示 されることになりました。夏休み明けには第三次交渉で、単価アップと健康診 断の希望者実施などを要求していくつもりです。(法政大学担当執行委員:南 雲和夫)

 

7/8白梅短大

  白 梅短大では、組合結成当初から、大学のメールボックスに組合の機関紙「控 室」を配布してきました。ところが、大学が突然メールボックスの使用を禁止 してきました。メールボックスは業務専用で、組合が開けるのはプライバシー 侵害だというのです。今回の断交で組合は次の点を主張しました。

1)一回目の断交で、組合の教宣活動として組合掲示 板の設置を求めるとともに、メールボックスへの機関紙配布を行うことを確認 している。

2)5年間にわたって配布してきており、すでに既得権 となっている。

3)白梅のメールボックスは鍵がかからず、誰でも開 けられるもので、プライバシーは守られていない。しかし必要ならば、開けず に隙間から配布することもできる。

4)今年、6月6日に、東京地方労働委員会が、まった く同じケースの日本航空と日本航空客室乗務員組合の事案について、「同組合 が1年に12回を限度として、メールボックスを介して組合文書を配布する事を 妨げてはならない。」という命令を出している。我々の組合の配布は、年4回 に過ぎない。

 この 配布禁止は、組合活動に対する不当な妨害であり、絶対に認められません。 10月2日の団交で、大学が取り下げない場合は地労委に持ち込む予 定です。

 

7/26慶応大学教職員組合

 今後 も待遇改善に努力するとのお話を伺いました。

 

都立短 期大学

  8月22日に大学管理本部と二度目の団交を行いました。詳細 は連載「都立4大学の統合と非常勤講師の雇用問題(3)」をご覧ください。

 

明治大 学

 明治 大学とは、5月17日に第1次折衝を行いましたが、その後、明治大学教職員組 合との折衝が成立しなかったとの理由で、わが組合との第2次折衝を行わなれ ないまま、9月を迎えてしまいました。しかし9月に入って、大学側から、非常 勤講師給の最低ランクを、3万円にすると口頭での回答がありました。まだ文 書にての回答はありませんが、最低ランクの3万円は確約されました。

 

早稲田 大学

 早稲 田大学教員組合は、組合広報紙で、非常勤講師給を1コマ月額32,000円(40歳未満)と35,000円(40歳以上)の2ランクに 改めることなどを春闘要求とすると発表しました。

 

 

―大学ルネサンス RENAISSANCE その14―

『大学 改革大綱』がめざす「大学像」と「基礎ゼミナール」の可能性

斎藤 正美

 

 

 知ら れているように、2001年11月の『東京都大学改革大綱』で東京都が2005年度(平成 17年度)に都立4大学を再編し、新大学を設立することを決めた。この中で短 期大学と都立大学のB類(夜間部)の廃止がうたわれ、関係する組合員の生活 が奪われることが予想されるので、わが非常勤講師組合は「短期大学廃止反 対」の署名を集め、都議会に陳情する一方、都庁舎内にある大学管理本部と団 交をもってきた。

 とこ ろで、今なぜ再編かとあらためて問うても納得いく答えが用意されている訳で はない。財政的に一律10%カットというのが真相のようだから『大学改革大綱』をいく らつっついても、限界があると思われるが、この公表されている資料を手がか りにして、再編の理由と方向の一端を探ってみることにする。

 『大 学改革大綱』の第1章「社会経済状況の変化と大学の役割」の項で「従来のシステム によっては持続的成長が不可能となり、社会、経済、政治などのすべての分野 において抜本的にその構造を改革する必要に迫られて」いるので、大学には 「国際的な競争力を持った新技術の開発」と「創造性や豊かな教養にあふれ、 高度な専門知識を備えた社会をリードする人材の育成が求められる」としてい る。『大綱』はつづいて「都立の大学は次のような改革すべき課題を抱え」て いるとして、3つの課題(教育機能の強化、都民生活・都政への貢献、設置形 態および管理運営体制の見直し)をかかげ、簡単な説明を添えている。再編す る説得的な説明はないが、都としてはともかく都立4大学を「改革」するので あり、改革内容を提示する。すなわち、第2章「新たな大学がめざすもの」と すすむ。課題を先行させ、豊かな改革ビジョンで勝負しようということらし い。

 第 2章、第3章(「あらたな大学を創る」)を通して具体的だ とおもわれるところを拾い出して要約してみよう。まずは@各国の大学・研究 機関と提携し、東京の次代をリードする人材を育成するために、A「多様な履 修システムの導入により、自ら考え主体的に進路を選択する力」がつくように する。B「国際社会で活躍できる人材を育成する」ために、学部段階で「教養 教育、基礎教育」を徹底する。C大学院において高度な専門職業教育に取り組 む。さらにD「法人経営に民間の経営感覚を取り入」れ、「経営責任者を知事 が選任」する。このような教育制度・システムをもった大学にし、「存在感あ る大学」、「国際競争力」があり、「都民生活を支え」「社会に向かって開か れる大学」像が目標として描かれる。

 「多 様な履修システム」では、長期履修制度=「パートタイム学生制度」や、専攻 にとらわれず大枠で募集したり、学科のなかにコースを設けたりするとある。 しかし、もっとも重視されているのは、基礎教育・教養教育であると思われ る。いまや、社会調査によれば「分数のできない大学生」、それに実感として くわえれば「漢字の読めない大学生」が増加しているので、国際競争力をつけ るには「外国語教育、情報教育」とともに「基礎教育(しつけの教育もすべき だろう)」が重視されるのは頷ける。

 「大 学改革」では「基礎教育ゼミナール」を重視している、と7月3日の大学管理本部の団交の席上、N部長が強調したのが思い起 こされる。1年生全員がゼミに組み込まれ、小人数ゼミが導入されるのであれ ば、教員の雇用機会が増え、短大廃止後の非常勤講師の受け皿になるので、組 合としても知恵とイメージを出し管理本部に協力すべきところであろう。

 基礎 ゼミとして1年生からゼミ形式を取り入れている大学は、手元に資料はない が、私学ではかなり前からあるようだ。私はR大学で96年4月から基礎ゼミを担 当している。当時は25名程度で現在は20名程度になっている。全員ゼミに属す るが、2年生が所属する本ゼミでは、およそ4割の学生がとっているだけという ので、それなりの意義がある。R大学の『履修要項』(02年度)によれば、就 職に学歴や学校歴がものをいわなくなった時代には「高いレベルの知識や能力 を有するかが、こうした時代を生き抜くための力」となるので、大学で「自ら 問題を発見し、調査し、それを取りまとめ、説得的に表現する能力を身に付け る」ことを目的とし、「大学での勉強の仕方やその方法」を学ぶとある。大学 にある「膨大な図書資料や情報システム」を「利用するノウハウや文献の読み 方、資料調査の方法、レジュメやレポートの書き方、報告や議論の仕方」を学 ぶと具体的に述べた後、「学ぶことの面白さや興味あるテーマを見出し、主体 的に学ぶことの楽しさを伝えたい」と基礎ゼミの「希望」が書かれている。

 教員 はそれぞれ相当工夫している。「線を引いて、2色で区別してこう読む」などと読み方の本をテキストにして教え ている方や、予備校の先生が書いたベストセラー『ニュースがよく分かる』か ら取り出した経済用語をゼミの始まる前にテストして(当然〇を付けて次のゼ ミで返す)いる方がいる。テキストを決め輪読する(岩波新書クラス)方もい る。私は自由テーマで3人づつのグループを、7組作り報告させている。しか し、テーマを自由にしておくと決まらない。それでも決めようとすると、ファ ーストフード、アパレル、スポーツ・レジャー、コンビニなどと表面的なもの になりがちである。アジア問題などと限定するとかなり不興をかうことにな る。資料は、インターネットで済ませる学生が2割ほどいる。インターネット に対する批判的な見解を求めると、「アングラ情報は信頼できない」などとま じめに答える学生がいる。インターネットの公式見解だけで議論を組み立てら れると思い込んでいるようだ。さて発表のあとの討論が続かない。他人の発表 について評価させると、「よかった」としか言わない。人を傷つけたくないな どという問題ではなさそうだ。司会をまかせると、休憩が20分になったりす る。議論をリードしてくれる学生が運よく入ってくれているときがあり、「助 かった」と内心おもう。いずれにせよ、これらにしつけの問題がくわわるの で、教員側の力量がかなり必要とされる。R大学では毎年始めに経験交流会が 開かれ、改善に努めている。

 うま く行っていない経験となってしまったが、工夫によってかなりのものになる。 東京デズニーランドの土地払い下げをめぐる疑惑を追及するレポートがあった ことを上げておこう。同じ大学内だけに限定しない非常勤講師組合がタッチ し、組合員の経験を交流すれば、「基礎ゼミナール」を豊かなものにすること ができよう。ここにはまた雇用拡大の突破口がありそうだ。

 

 

<連載>

東京都 立4大学統合と非常勤講師の

雇用問 題(3)

T・W)

 

 

 都立 短大および夜間課程の廃止反対と非常勤講師の雇用確保の取り組みは2つの段階を経て、新たな局面をむかえている。@陳情署名活動 (1666名分提出)と都議会文教委員(5会派)への面会および文教委員会の傍 聴(組合員20人)である。この結果当局との団交権の確認と陳情の「保留」採 決(否決ではない)を勝ち取った。A当局の窓口である大学管理本部との2回 にわたる団交(7・8月)が実現し、個別要求(非常勤講師への情報公開−説明 会開催や新大学移行過程の情報開示、有給休暇の取得など)獲得の目途を得 た。しかし肝心の雇用継続については、新大学の授業編成が未定のため交渉は 進んでいない。また夜間課程廃止の問題でも都の方針を変更させる見通しはた っていない。

 今 後、要求を実現させていく上で、2つのことが必要になる。@理念の明確化A具体的解決策である。 @都側の「費用対効果論」に基づく短大・夜間廃止(経費削減のための教職員 過員解消、つまりリストラ)に対し、公立大学の理念を明確にし、理念におけ るイニシアティブをもつことである。これまでの都立四大学のすぐれた教育の 成果(小人数教育のよさなど)を継承しつつ、大都市で生活し働きながら学ぶ ことを保障する現在的な意味を理念化することである。A都は、社会人履修科 目制度やパートタイム学生制度が夜間課程廃止の代替手段だと主張するが、い ずれも難点がある。夜間に授業がないと卒業が不可能になる学生の問題が解決 されないからである。現在いくつかの私立大学では、二部(夜間)を昼夜開講 制にする切り替えが実施されている。都立新大学も民間の経営努力に学ぶ必要 がある。また基礎教育ゼミ(20人程度で編成)を非常勤講師が担当できるよう にすることも雇用確保の一方法である。運動の中でさらに具体的で多様な解決 策を提出していく必要がある。

 

 

クリップボード

 

 

(1)『控室』原稿を募集します!

 組合 員か否かを問わず随時受け付けます。掲載段階で匿名は可能ですが、連絡先は ご通知ください。プライヴァシーは厳守します。電子メールによる原稿を歓迎 します。短い記事や通信は送信者に断りなく「読者の声」などに匿名で掲載す ることがあります。原稿の送り先は以下の通り。

E-mail】 s-kkch@pa2.so-net.ne.jp

FAX】048-959-5004

 

2)公募情報などの収集・配布

 大学 教員等の公募情報を電子メールで送信します。受信希望者は下記まで。ただし 当方の都合による遅れ・中断・中止もありえます。公募情報・情報源情報を下 記連絡先までお寄せいただければ幸いです。

E-mail】 s-kkch@pa2.so-net.ne.jp

 

3)組合関連―現勢・雑報―

 当組 合の現勢は3ケタ。どんどん仲間を増やしましょう。手渡しやメールボックス への投函で『控室』を配布できる方は、FAX:042-627-4420まで、送付先(配 布者の住所、氏名など)、配布する大学(学部)・学校名、配布部数をお知らせ ください。

 

4)組合員の声・読者の声

Gさま/Hです。ご無沙汰しております。いろいろ忙しく て、あまりメイルを注意深く見ていなかったのですが、東京都立短期大学が廃 校になると知り、驚きました。石原知事の都立大学改革の話はちらほら聞いて おり、どうなるものかとは思っていましたが、やれやれです。情報提供ありが とうございました。ではでは H(20020713)

★前 略、Kです。2002/07/13に頂いた『控室』号外への返事で す。号外に触発されて近況等連絡します。単なる落書きです。(1)どうも、 「効率」というワク組みの中では話は平行線でなかなか折り合いを見つけるの は困難ですネ。価値観の転換でも起こらない限り、とハナハダ悲観的になりま すが、さりとて、目の前に現実があるので少しずつでも押し返していくしかな いです。(2)小生の周りもこれまでになく、「リストラ」風が吹いていま す。今年45歳になる社員は一律転職しませんか? という面接を部長以上とし ています。ウンザリ。サラリーマンになって20+α年、随分長い間勤めてきた ものと感心しているところです。これとは別に、多少関係あるかも知れません が、「もっいいかな」という気が起こらないこともありません。危ない危な い。(3)業界内でも、指名解雇が出始めています。どう関わって行けるか と、考えているところです。草々

 

【編集後記】

 

 盛夏 は開店休業のような組合ですが、その間にも日ハム、東電のみならず、大学の まわりでもさまざまな事件が起きています。帝京大学医学部の寄付金問題、大 阪の府立3大学統合問題など。帝京大医学部は来年度の私学補助金が停止さ れる模様ですが、「大学改革」が小泉改革の目玉になりつつある現在、「改 革」によって生じる非常勤講師の不利益を世間に訴えていくのは、非常勤講師 自身しかありません。(行)

 

 

文部科学省・厚生労働省に対する陳情 にご参加ください

日時 2002年9月 19日(木曜日) 14:00〜16:30

場所 参議院議員会館第3会議室

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『控室』第44号 付録

大学非 常勤講師の社会保障問題について衆議院で質問

 

 

  4月の日本共産党の林紀子参議院議員の国会質問に続いて、 今度は衆議院で、大学非常勤講師の社会保障の問題が取り上げられました。 7月22日(月)の衆議院決算行政監視委員会第三分科会で、社民党の金子哲夫衆 議院議員が、細切れパートの非常勤講師の社会保障について政府を追及しまし た。以下、『会議録』第1号の該当箇所を転載します。

 

●金子 (哲)分科員 ・・・中略・・・それでは、早速本題に入りたいと思いますけ れども、今厚生労働省の中でも、パートタイム労働者の問題について研究会も 持たれて、そして最終報告も出たというふうに伺っております。全般的にパー トの労働者がふえ、この問題が重要な検討課題になっているということは、私 もそういうこと、国会の中にも議員懇談会ができまして、私もそのメンバーの 一人になっておりますけれども、きょうは、そのパート労働者の中でも、大学 の非常勤講師の問題について、特に絞りましてお伺いをさせていただきたいと 思います。

 ちょ っと大学の非常勤講師の実態について少し最初にお話をさせていただきたいと 思いますけれども、非常勤講師というのは大体一年の契約ということになって いるということを聞いておりますし、授業のみを何こまか担当するパートの大 学の教員というふうに考えていいというふうに言われておりますが、今何こま という話をしましたけれども、一こまは、週一回行われる授業で大体九十分間 の担当をするということになっているようであります。

 大学 非常勤講師といってもさまざまな形態がありまして、第一には、大学の専任教 員が自分の大学以外で非常勤講師をするような場合、それから弁護士さんとか 公認会計士、医者、マスコミの関係者などが非常勤講師をする場合、それから 専任の教員であった人が退職後にかつての本務校で非常勤講師をする場合、そ してもう一つ、きょうこれからお話をしたいのは、実際には本務校というかき ちっとした学校を持たずに、主として生活の糧を非常勤講師としての収入から 得ているような場合。つまり、この四番、今最後に言いました、本務校はなく て主として講師のみで生活の糧としていらっしゃる方、こういう人たちを専業 非常勤講師、こういうことで呼んでいるというふうに言われております。

 実情 はどうかといいますと、きょうは文部科学省の方もお見えになっておりますけ れども、九八年の調査によりますと、大学の非常勤講師の総数は十三万三千八 百六十九人、全教員に対して四七・八%という比率になる。そのうち、私が今 言いました大学の専業非常勤講師の総数は四万五千六十七人、これは文部科学 省の調査によっての数字と聞いておりますけれども、こういうことになってお ります。

 た だ、非常勤講師といいましても、先ほど言いましたように、一つの学校に特定 をして勤めているということでありませんから、複数の大学をかけ持ちしてい るということが言われますから、これは実数を、もし把握されていればまた後 ほどお教えいただきたいと思いますが、実際には把握できていなくて、ほぼ予 想的に言えば、そういう非常勤講師をやられている人たちの中で言われている のは、実数二万人前後の人が専業非常勤講師として働いていらっしゃるのでは ないかというふうに言われております。

 しか も、規模の大きい私立大学では、授業の二四%ないし三四%が非常勤講師によ って担当されていると。ある首都圏の私立大学では、非常勤講師の数が専任教 員の数を大きく上回って、授業の五〇%以上をこのような非常勤講師が担当し ている大学も最近は珍しくなくなっているという状況にあるというふうに言わ れております。

 とこ ろが、こういう大学教育の中で、非常勤講師と今申し上げましたように、非常 に重要な役割を果たしておりますけれども、そのいわば労働条件といいます か、そのようなものはどうかというと、非常に劣悪な待遇の中で働かされてい るという状況があると思います。

 一こ ま当たり、先ほど言いました、週一回やりまして、月に大体四週とすれば、四 回出まして月額で大体どれぐらいかというと二万五千円、まあ九十分というこ とを考えれば高いか安いか、いろいろあると思いますけれども、年額にして三 十万円前後だと。ですから、専任教師は週に五こまぐらいやられているようで すから、それだけもし働いたとしても年に百五十万円前後という条件になって いるということです。大体、専任教員の年収は八百万から一千三百万円という ことですから、非常勤講師の待遇は専任教員の七分の一の待遇の実態にあると いうことでありますし、それから、重要なことは、雇用保険等にかかわる問題 について、この非常勤講師というのは全く今その待遇が行われていないという ことであります。

 もち ろん、大学の講師の場合には、ほとんどの場合、専任教師用の研究費、図書 費、出張費等々もありますけれども、非常勤講師の場合には、その専任教員の 大体十分の一ぐらいという、極めて差別的な待遇で働いているということであ ります。

 特 に、先ほど申し上げましたように、大学の専業非常勤の講師が、本来はパート 労働者でも保障されている共済組合とかそれから社会保険への加入がほとんど 認められていないというか、実態上、そういう実態になっていないということ になっております。

 です から、そういうこと、場合によれば、これは大学ではありませんが、中学校、 高校の非常勤講師の場合はもっとたくさんのこま数を持って担当をしていると いうようなこともありますし、そういうことの状況の中で、先ほど言いました ように、パートの労働者の問題として今研究会も行われておりますが、これか らこの専業の非常勤講師の、特に年金問題などについて具体的に少しお伺いを したいというふうに思います。

 ま ず、わかればお教えをいただきたいと思いますけれども、専業の非常勤講師 が、これは私学共済は厚生労働省の直接の担当ではなくて文部科学省の担当と いうことになりますけれども、それからまたは、例えば厚生年金などの社会保 険、こういったものに加入を認めている大学、つまりは、事業主が負担をしな きゃいけないという問題もありますから、そういった講師の数とかをどれぐら いというふうに、調査とかそういうことがもしおわかりであれば、厚生労働省 でも結構ですし文部科学省でも結構ですけれども、お答えをいただければと思 います。

●石川 政府参考人 ただいま専業非常勤講師等の私学共済への加入のお尋ねがござい ました。私学共済への非常勤講師の加入につきましては、労働日数であります とか労働時間が常勤教職員のおおむね四分の三以上というような要件がごさい まして、ただ、これを加入させるに当たりましては、各大学から申告といいま すか申請に応じて報告をとっておるものでございまして、その内容について、 非常勤であるか常勤であるかというようなことを区別しないで該当する者の報 告を受けておるというようなことでございまして、ちょっと数字についてはそ の両者を区別するというふうなことはできておらないところでございます。

●金子 (哲)分科員 厚生労働省の方で、例えば厚生年金などの関係で、こういうこ とについてもしおわかりでしょうか。わからなければ結構ですけれども。

●冨岡 政府参考人 社会保険の適用状況について御説明申し上げますと、平成十三年 十月一日現在で、全体では適用事業所数が全国で約百六十七万事業所、被保険 者数が約三千二百三十万人おりますが、このうち教育に関しましては、教育全 体で適用事業所数が約一万事業所、被保険者数が約二十三万人となっておりま すが、先生御指摘に係ります大学の専業非常勤講師に特定した社会保険の適用 状況につきましては把握しておりません。

●金子 (哲)分科員 先ほど文部科学省からも話がありましたが、ほとんど入ってい ないという状況だろうと思います。

 今お 話がありましたように、四分の三というお話がありましたけれども、もう御承 知のとおり、今、最初私が申し上げましたとおり、学校、特に大学の場合、拘 束される時間というのは、まあこれは大学の先生の労働時間というのは一体ど ういうふうに計算されるのかよくわかりませんけれども、いずれにしても、自 分の待機時間も含めまして、研究時間も含めまして労働時間になる。ところ が、今お話ししましたように、非常勤講師の場合にはその授業の担当する時間 だけが契約時間ということになりますと、もう到底、これは四分の三というよ うなことには該当しないのは明らかなわけですね。

 そう しますと、今文部科学省さんおっしゃいましたように、四分の三というもので やっておりますということになると、実態上はほとんどやっていない。ただ、 ある程度良心的な学校、私どもが把握しているところでありますと、例えば大 阪電気通信大学などでは、週四こま以上担当している人たちに対しては私学共 済に入れるように、そういうことをやっている大学もあるように聞いておりま すからすべての大学がそうだということは申し上げませんけれども、ほとんど の大学がそうだということになると思います。

 そう しますと、その上に、実態上は、先ほど言いましたように、非常に低い額で働 いていらっしゃるということもあって、いわば複数の学校に非常勤講師として 働いていらっしゃるという実態が、先ほど言いましたように、四万数千人の非 常勤講師で実数は二万人だということは、複数にダブっていろいろな学校にい らっしゃるから、そういう実態になるわけですよね。

 厚生 労働省にちょっとお伺いしたいんですけれども、例えばパートの労働者の場合 に、複数の雇用主の場合でも、この社会保険適用のことが、一応は法律上は適 用が可能ということになっておりますけれども、こういう場合には、今申し上 げましたように、大学の専業非常勤講師のような場合には、複数の雇用主のも とで働いている細切れパートの場合、社会保険には加入は可能なんでしょう か。

●辻政 府参考人 お尋ねの厚生年金の適用でございますが、厚生年金は、いわば被用 者、勤め人という形で制度が動いているわけですが、その場合に、お勤めの事 業所、これは適用事業所と私ども呼んでおりますけれども、適用事業所に使用 される方について適用するということでございまして、あくまでもその適用事 業所とのいわば雇用関係が、再三出てまいりましたように、同種の業務に従事 する通常の就労者の所定労働時間あるいは所定労働日数の四分の三以上をおお むね占めなくてはいけないということでございますので、それぞれの適用事業 所で四分の三をクリアしなければ、四分の三クリアしていない方が二つを足し て四分の三であるとしても、二つの適用事業所で四分の三を超えているとして も、これは適用されません。

 その 考え方でございますけれども、細分化してまいりますと、最後は、一人の方が いろいろなところで働いて、そこで賃金をもらえる、俗っぽく一人親方という ような言葉がございますけれども、こういう場合は今国民年金が適用されてい ますことで、個人がいろいろなところで賃金をもらえる、国民年金を適用され ている状況と、それから、事業主に対してどのように雇用されているかという 雇用の関係を今四分の三ということで見ているわけですけれども、これとの考 え方の違いでございまして、私どもは、その四分の三ということで現在適用し ておりますので、御指摘のような場合には残念ながら適用されないわけでござ います。

●金子 (哲)分科員 今のお話で非常に矛盾があると思うんですよね。

 複数 の事業所に働ける。四分の三だ。四分の三以上なければだめだ。複数で四分の 三以上働くということになると、一以上の仕事をしなきゃその人は適用されな くなる。一人の通常の人が働く時間よりも大幅に長く複数で働かなければ実際 上できなくなるという、ちょっと矛盾があるわけですよね。

 しか も、今、複数の事業所に働いていても、適用される人がいるわけでしょう。ど ういう人が適用されているんですか。

●辻政 府参考人 その場合は、あくまでもそれぞれの適用事業所で四分の三以上クリ アされる方でございますから、したがって、非常に多くの時間を就労に当たら れて、それぞれの事業所で四分の三をそれぞれクリアしている方だけが複数で 適用されております。

●金子 (哲)分科員 その合算規定の適用者の中に、例えば企業の役員などが入って いませんか。

●冨岡 政府参考人 補足してお答えいたします。

 会社 の役員といった方につきましては、そういった経営に判断されるという立場な ものですから、時間的な要件というものはございません。

 そう いうことで、会社の役員といった方で二以上の事業所で適用されるといったケ ースもございます。

●金子 (哲)分科員 ちょっとよくわからないんですけれども、つまり、二以上の事 業所で働いていても、役員だったら経営の側にいるからということで厚生年金 適用できる。ところが、一生懸命働いている、相手側の事情で、特殊な職場な んですよね、例えば今私がお話ししたように、大学の非常勤講師という特殊な 職場である場合、そういうふうなことだけで画一的に適用してまいりますと、 これはいつまでたっても適用できないんじゃないか、もう今の社会保険行政の 中では救済をされていかないんではないか。

 です から、私は今これで、今までがどうだということではないんですけれども、そ こらが、複数の事業所に働いている人たちに対して、一方で法律上はいろいろ なことが想定されたにしても、救済するということを決めていながら、実際、 実態上はほとんどそれが、そういう働いている人たちが、しかも雇用関係はし っかりと持っている、いわば雇用者、いわば非常勤講師としての働きをしてい る人たちに対して、実際には、複数の事業主に雇用されていながら、これが適 用されないような矛盾点はないでしょうかということをちょっとお伺いしたい んです。

●辻政 府参考人 ただいまの役員の場合は、役員の勤務形態そのものがそもそも、一 時間、一時間といったような労働で企業に貢献するのではなくて、その執行責 任者としての貢献の仕方によって企業との雇用関係が認められ、したがって、 そのような形でいわば雇用関係を認めるためには、二つ以上重複する場合があ る。

 逆 に、時間に対して、あるいは日に対して労働をし、賃金をもらうという関係の 場合は、その二事業所でそれぞれ四分の三以上、それぞれの事業所における通 常の勤務者の四分の三以上勤めるというのは大変なハードワークをされている と思いますが、その方はそのような形で雇用関係を持ちますので、四分の三以 上を満たす、こういった考え方で、今複数の適用事業所で適用される場合があ るわけでございますが、これをどの程度、事業所との関係ではなくて、複数の 事業所に割ったものを足していくかということは、これは、逆に言えば、一人 の方がいろいろなところから賃金をもらえる。

 これ は今の形では、何度も説明して恐縮ですけれども、一人親方というようなこと をよく言われますけれども、いろいろな現場へ行って、それぞれの現場で賃金 をもらって、日々あちこちから賃金をもらえる方というのは、収入を得られる 方というのは、国民年金に適用されておられるわけでございまして、そこのと ころの、どうしてもその考え方の違いというものは出てくるということで、こ このところは、一つの制度のいわば形から割り切りをせざるを得ないというの が現状でございます。

●金子 (哲)分科員 厚生年金法の第二十四条の二項にも、複数事業所に勤務する者 の月額報酬の給与の合算により算出することが規定をされておりますし、それ から、同施行令の第四条の場合にも、そういう場合における各事業主の保険料 負担の案分による算出方法も規定をされておりますし、さらに、健康保険法の 第三条九項にも同様の規定があるわけですね。

 つま りは、それはあるということは、例えば、私はあえて企業の役員のお話をしま したけれども、そのほかの対象である、例えば特殊技能を持っている人もそう いうことに入りますということを、社会保険庁のパンフレットの中には合算規 定対象者として書いているわけですね。

 です から、私は、そういうことに対して、もともと法律の中に、複数の事業所に働 いている人を対象として考えていた考え方があった、しかし、五十五年に出さ れた厚生省の通知、内簡というようなものの中に、いや、実際は運用はこうな んだというような規定をして、それで実際上狭められている、複数事業所で働 いている人たちの適用範囲が。

 今回 のようなケースの場合は、私はこれからの検討をぜひ、後でお尋ねしたいと思 いますけれども、もともと精神としては、そういう複数の事業所に働いていて も、そういう人たちに対しても、できるだけそういう社会保険的なものを適用 していくようなシステムをつくろうということで出発したと思うんですよ。だ から、今言われるように、いや、あの人だけ特殊ということではなくて、ただ それは厚生労働省の中で、内部にあってそういうことを内簡のようなもので、 自分たちで、こことここが適用だと。

 大 体、企業の役員より、一生懸命働いている人たちがこういう社会保険の適用を 受けずに、役員で高額の報酬を受けている人がこういうことで優遇されている ようなシステム自身が私は問題があるというふうに実は思うのですね。

 です から、働く人たちの将来の不安とか、今、国民皆年金の時代と言われている中 にあって、そういうことで救済されない人たちに対して、やはり救済してい く。特殊な事情で、一つの大学だけではどうしてもそれだけで生活が得られな いために、複数に働かざるを得ない人たち、そういう現に職場があるというこ とですから、精神としては、複数の事業所に働いていても救済できるものは救 済していくという精神じゃないんですか。その点、もう一度お伺いしたいと思 います。

●辻政 府参考人 少しかたくなな答弁になって恐縮でございますが、その合算の規定 はあくまでも、適用事業所において雇用関係が認められるという場合に、しか しながら複数の事業所で適用される場合もある、その場合に合算するというふ うに位置づけられるものでございまして、しかも、役員の場合は、言いました ような時間当たりの勤務あるいは日当たりの勤務といったような考え方ではな いものでございますので、極めて例外的でございまして、役員を除きまして は、やはり適用事業所で雇用関係がある、すなわち、四分の三以上ということ を満たさなければ、それぞれで必ず満たさなければ、合算規定は動きません。 したがって、合算規定はそのような前提のものでございます。

 した がって、ばらばらの適用事業所のものを足して、そして雇用関係を、複数で見 れば雇用関係があるといいましょうか、その複数というのは、逆に言えば、そ れが多ければ、自営業といいましょうか、自分がいろいろなところへ行って収 入を得るという形にもなるわけでございますので、そこの点の区分というもの が今このようになっているということを御説明した次第でございます。

●金子 (哲)分科員 私は、今、大学の非常勤講師という極めて限定された職業につ いてお話をしているわけで、そのときに一般の自営業者とかそういうことを引 き合いに出すことはないじゃないですか。現に、大学の非常勤講師という特殊 な職場形態があることを最初に御説明をして、そのことについてどうかという 話をしているわけで、その中で検討できないかということを申し上げているわ けです。

 次に 申し上げたいと思いますけれども、先ほども言いましたように、パートの労働 に関して、パートの年金などについて制度改正を行うべきだということで検討 がされている。先ほども言いましたように、研究会の最終報告も出されて、例 えばその中では、正規職員のやはり四分の三というのはおかしい、二分の一ぐ らいでどうだろうか、年収が六十五万円以上だったらどうだろうか、そういう ようなことが検討されているわけでしょう、現実的には。

 そう しますと、しかし、私はそういう方向にできるだけ下げていくということで検 討してもらいたいと思うのですけれども、それであっても大学の非常勤講師と いうのは救済をされないわけですか。

 先ほ ども言いましたように、大学の教員に対して二分の一も労働するということは 一体どうかということになると、大学の先生というのは、先ほども言いました ように、研究時間も含めて八時間というふうに考えられているのかよくわかり ませんけれども、少なくともそのうちの週何時間しか実際に授業を行わない。 そして、非常勤講師の場合は、実際にその一こま授業を行ったときだけが契約 の労働時間ということになりますと、大臣、二分の一でもなかなか厳しいと思 うのですよ、大学の先生と比べて二分の一以上働いていなきゃできないという ことになりますと。

 しか も、年収の六十五万、例えば今出ておりますような六十五万ということになり ますと、大体週二こま担当している非常勤講師が年収六十五万以上クリアしよ うと思えば、月額二万七千百円ということに計算上はなるわけですね。今二万 五千円というお話をしましたけれども、そうしますと、これもクリアできな い。ということになりますと、今検討されている問題でも非常に難しい問題が 出てくる。

 です から、私は、ある意味では、やはり、先ほど言いましたように、二万人ものい わばそういう非常勤講師で今現在働いていらっしゃる人たちがいらっしゃる。 しかも、これまた毎年更新ですね、これは非常勤講師ですから。毎年更新で、 不安定な状況で働いていらっしゃる。そういう人たちの将来、しかも、講師を ずっと長く続けていらっしゃる。現実的に大学を見てみますと、一人の人が何 年もやっていらっしゃるケースというのは随分あるわけですね。

 そう してみますと、そういう人たちに対して、今までどおり、例えば厚生年金につ いても、実際には働いて大学に対して寄与しているにもかかわらず、こういう 厚生年金事業主負担分が受けられないために厚生年金に加入できないというよ うなシステムがこのまま続いていいのか。

 パー トの今度の見直しをされるときに、こういうことも救済すること、特殊な労働 職場ということでの救済というものはぜひ検討としてやっていただきたいとい うことを私は強く要望したいと思いますけれども、その点について大臣のぜひ お考えをお伺いしたいと思います。

●坂口 国務大臣 先ほどからずっと委員の御指摘になりますお話を聞いておりまし て、確かに、私たちが知っております人の中にも、三カ所も四カ所も大学を持 ち回りと申しますか、講義をなすっている方があることは事実でございます。

 私 も、先ほどから聞いておりまして、どこかの大学に一つどこか落ちつく場所が あって、それで、それはそれとしながら、よそへもひとつ講義に行きますよと いう場合はいいわけですね。

 だけ れども、どこか一つ落ちつく場所がない。それで、平等にあちらこちらに回っ ておみえになる。それは、御本人がそういう形態を好んでおみえになる場合も 中にはあるのかもしれないけれども、やはり受け入れ側の大学の方で、そうし た場合に受け入れるということを決めてくれれば、それはそれでいいわけで す。

 だか ら、その雇用関係をどういうふうにお話し合いをなさるかということになって くる。それがそうでありませんと、先ほど局長が答弁しましたように、大工さ んと同じにして申しわけないですけれども、一人親方のような形で、どこへで もお仕事に行かれるという形態になってしまうということになります。

 四分 の三がいいかどうか。それは二分の一ぐらいだったら、それでいいのかどう か。しかし、それでもなおかつ、そういう形態というのは確かに残ることは残 るわけですね。それは、個人が契約をされるときの大学とその先生との間の契 約のあり方の問題なのか、それとも、そうではなくで、あちらこちらへ行かれ る場合に、それは同じように四つなら四つの大学、同じような時間数ずつしか 行っておみえにならないということのために起こってくることなのか。そこ は、僕も頭の整理がなかなかできにくいのですが、大学の先生でな、週一時間 ぐらいしか教えてみえない先生もたくさんありますね、正直言って。

 私の 知っている先生でも、週一時間教えたらいいんだという人はあるわけですよ。 それで、その間どうしているのですかと言ったら、いや、行っても行かなくて もいい。行っても行かなくてるいいと言ったらしかられますけれども、図書館 へ行って勉強するなり、研究を、いや、それは自宅研究でもいいんだ、こう言 っておみえになる。

 そん ないい商売もあるのかなと僕は思うことがございますけれども、その賃金の高 い低いは別にして、それはその大学とその先生との契約の問題になってくるん じゃないか。

 どこ か一つ、おしりをおろすといいますか、どこかを中心にしてほかへも行く、そ のどこかを中心にしたいと思うところの大学との契約の話になってくるのか な。それで高い賃金、低い賃金は、それはあると思いますよ。あるけれども、 しかし、それはそれでそのお話し合いをいただくことがまずは大事になってく るのではないかなという気持ちで聞かせていただいた。

 その 四分の三がいいか、二分の一にするかという、これは我々も検討したいという ふうに思いますけれども、それだけでは解決のできない問題だということもよ くわかります。

 だけ れども、私も割り切れないのは、同じように四カ所なり五カ所なりの大学を、 同じように毎週一時間ずつ回っておみえになるという場合には、どこの大学が 中心かということが御本人もわからないし、周辺もわからないしということに なってしまう。ですから、そこは御本人が、どこと中心にして契約をして、そ こへ腰を落ちつけられるかという話になってくるのではないかという気がしま すけれども、どうでしょうかね。

 私も 余り十分に認識をせずにお話しして、申しわけありません。よく検討いたしま すけれども。

●山名 主査 金子哲夫君。時間ですので簡潔に。

●金子 (哲)分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、先ほど、今大臣も 非常に難しい問題だとおっしゃいましたように、文部科学省の中にも、おっし ゃいましたように、大学はこれからさらに、大学の経営の問題もあって、私 は、こういう非常勤講師制度というものが進んでいくんではないか、大学の中 で占めていく割合も大きくなるんではないかというふうに思います。

 そう してみますと、やはりそこに働いていらっしゃる方の問題について、今までど おりでいいというわけにはいかなくなるんではないかというふうに思いますの で、これは厚生労働省の問題でもありますし、また文部科学省の問題でもあり ますので、今検討されているさまざまな課題の中の重要な、特殊なケースとし て、ぜひ今後の検討課題の中でこういう問題が救済をされていくようにお願い して、時間になりましたので、ちょっと時間オーバーしましたけれども、質問 を終わりたいと思います。

 あり がとうございました。

●山名 主査 これにて金子哲夫君の質疑は終了いたしました。・・・以下略・・・

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