『控室』第8号

1997年4月20日発行(1997年7月19日改訂)
         (1997年8月 2日再訂)

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任期制反対アピール
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大学教員への任期制法制化に反対しよう!


不安定雇用がもたらすもの

 1996年10月29日、大学審議会は、大学教員への任期制導入を提言する答申を 提出しました。これを受けて文部省は関連法規を「改正」するための準備を進めていま す。任期制とは、数年に年限を限って教員を採用し任期満了になれば自動的に解雇でき るという制度で、これが法制化されれば、これまで終身雇用であった大学専任教員にも 有期雇用が拡大できるようになります。

 わたしたち非常勤講師は、以前から1年任期で働いており、不安定な身分が教育研究 にとってどれほど有害か身にしみてよく知っています。任期制になれば、専任教員も短 期間で業績を上げることに追われ、解雇がこわくて意見を言えなくなり、学問の自由も 失われていくのではないでしょうか。また、これまで非常勤講師が苦しんできたのと同 じように、専任教員も病気にかかることも、銀行から金を借りることもできなくなり、 場合によっては奨学金をすぐ返すように求められることになるでしょう。わたしたちは 、自分たちの体験からも不安定雇用から生じる苦痛と弊害がこれ以上広がることは望み ません。

大学のマクドナルド化



 任期制推進派は、一部の大学教授がろくに研究もせず、つまらない講義を繰り返して いるのに高給を得ていることを取り上げ、任期制を導入すればこのようなことがなくな るかのように宣伝しています。しかし、答申にもはっきり書かれているように、任期を 付けることが最初に要求されるのは助手やこれから専任になる若手研究者であり、古参 教授ではありません。実際には、任期制の導入は人事を握るボス教授の権力をいっそう 強化し、若手の使い捨てやゴマスリ競争をはびこらせるのではないでしょうか。また、 任期制が導入されれば、任期付きの教員は現在の非常勤講師と同じように大学自治の担 い手から実質的に排除され、自主的な改革は一層困難になるでしょう。

 有期雇用の問題は、今初めて出て来たわけではありません。現在でも、非常勤講師は 私立大学の講義の4割以上をしめるのが普通であり、専任でも外国人(在日韓国・朝鮮 人をふくむ)には以前から任期がついています。また、立教大学、早稲田大学、慶応大 学、立命館大学、龍谷大学などでは、専任と非常勤の中間に数年任期の教員制度(嘱託 講師、特任講師、インストラクターなど)が導入されつつあります。したがって、任期 制が法制化されなくても、すでに有期雇用の教員が大学教育の半分を担っているのが現 実です。もし、任期制が法制化されるなら、大学は一握りの終身雇用教授と大半をしめ る有期雇用教員から構成されるようになるに違いありません。これでは、1店に3人し か正社員がいない「マクドナルド」のハンバーガー店と変わりがないのではないでしょ うか。

すべての労働者への攻撃の突破口



 このような大学の「マクドナルド」化を許すならば、それは日本の雇用システム全体 に風穴を開け、一部のエリート正社員と大多数の有期雇用労働者からなる「新日本的経 営」に道を開くことになるでしょう。現に、任期制法制化につづいて、1年をこえる労 働契約を禁止した現行の労働基準法の「改正」が検討されています。現在でも、数年単 位の任期制はすでに行われていますが、現行法とは矛盾しており、任期切れで解雇され ても争えば雇用を継続させることができます。また、1年契約の雇用契約であっても更 新を繰り返せば期限の定めのない雇用契約と同じとみなすという判例も定着しつつあり ます。したがって、現行法のもとでは、有期雇用の労働者は解雇されてもたたかえば勝 てる条件があります。しかし、任期制法制化や労働基準法「改正」が実行されるならば 、期限がくれば有無をいわさず解雇することが可能になってしまいます。任期制法制化 は、現在の脱法状態を合法化し、不安定雇用を社会全体に広げるものです。

 私たちは、任期制法制化に反対するだけでなく、以前から任期のついている外国人教 員や嘱託講師、特任講師などの任期もはずすことを求めます。そして、非常勤講師の雇 用の安定と待遇改善を要求します。これこそが大学教育の改善・改革のもっとも確実な 第一歩なのではないでしょうか。

1997年3月31日
首都圏大学非常勤講師組合第2回総会




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1997年4月20日発行(1997年7月19日改訂/1997年8月 2日再訂)

 『控室』第8号

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首都圏大学非常勤講師組合
(都区関連一般労働組合 大学非常勤講師分会)
−委員長:斉藤吉広−新Fax: 0428-20-7041
−郵便振替口座−00140-9-157425 大学非常勤講師分会

─────本号の主な内容─────
◆第2回総会で実り多い議論(2面)
◆運動・団交ニュース/本部・大月短大・白梅学園短大・E専門学校 (2面〜)
◆寄稿:過去、不当解雇闘争、そして現在(5面)
◆寄稿:10年働くとクビ??!!(6面)
◆クリップボード・英文記事(8面)

── 首都圏 大学非常勤講師組合 緊急アピール ── 若手研究者使い捨ての任期制法案に反対しよう!


 政府は4月8日、「大学の教員等の任期に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出し ました。法案は、大学における「教育研究の活発化」や「多様な人材の受け入れ」のた め大学教員に任期制を導入する、としています。この法案が可決成立すれば、大学の専 任教員にも任期を付けることが合法化され、任期付き教員は期限がくれば自動的に職を 失うことになります。
 私たち非常勤講師は、以前から1年任期で働いており、不安定な身分が教育研究にと っ てどれほど有害か身にしみてよく知っています。非常勤講師は、金も時間も将来の見通 しもなく、仕事を得るために有力者の顔色を伺わざるをえない立場におかれてきました 。任期が付けば、専任教員も同じような立場になる可能性があります。

任期制の適用は若手から

 任期制推進派は、一部の大学教授がろくに研究もせず、つまらない講義を繰り返して いるのに高給を得ていることを取り上げ、任期制を導入すれば、このようなことがなく なるかのように宣伝してきました。しかし、法案には、任期付きポストに教員を任用す る場合、「当該任用される者の同意を得なくてはならない」と書かれています。つまり 、既に教授になっている教員は、現職に留まるかぎり任期がつきません。任期がつくの は主にこれから採用される若手やまだ教授になっていない教員なのです。実際には、任 期制の導入は、人事を握るボス教授の権力をいっそう強化し、若手の立場はますます弱 くなると思われます。

任期制法制化は脱法状態の合法化
−事態はさらに深刻化−


 有期雇用の問題は、今初めて出てきたわけではありません。現在でも、非常勤講師は 私立大学の講義の4割以上をしめるのが普通です。専任でも外国人(在日韓国・朝鮮人 を含む)には以前から任期制が合法化されています。また、立教大学、早稲田大学、慶 応大学、立命館大学、龍谷大学などでは、数年任期の教員制度が導入されつつあります 。それでも、これまでは、「1年をこえる期間」の有期雇用を禁じた労働基準法第14条 の存在が歯止めになってきました。もし、任期制が法制化されるなら、脱法行為として 行われてきた数年任期の有期雇用が合法化され、奨励されることになります。私たちは 、このような不安定雇用の拡大を許すことはできません。
 私たちは、専任教職員と連帯しつつ、任期制法制化に反対するだけでなく、以前から 任期のついている外国人教員や嘱託講師などの任期もはずすことを求めます。そして、 非常勤講師の待遇改善と雇用の安定も要求します。
 皆さん、連帯してともに闘いましょう!




第2回総会で実り多い議論

 3月31日に、当組合の第2回総会が開催されました。参加者は、組合員が25名、作陽音 楽大学から2名、朝日イブニングから1名でした。
 総会に先立つ学習会では、井本三夫さんに「大学史的考察による非常勤講師問題」と 題して報告していただきました。井本さんの報告によれば、欧米の大学は、もともと、 専門家・教師と学生の自治組織として発達してきました。しかるに、今の日本の大学は 、企業独裁のもと生産力至上主義の専門学校と化しています。歴史的に見て、大学が硬 直化したときに、大学の外から真に求められている学問が育ってきました。「大学の崩 壊が私たちにとって明るい材料となっているのであり、真正の“大学”の旗を先に拾っ たものが勝つ」のです。今の“大学”の枠の中で右往左往する必要はないのです。この ように、井本さんの報告は、我々の組合に新しい“意味”を与えてくれるようなお話で した。報告を受けて、Yさんの自主ゼミの経験が語られ、本当に学びたい人を集めた大 学版フリースクールの可能性などが議論されました。井本さんの報告は、加筆したもの が、非常勤講師問題のブックレットに収録の予定です。
 総会では、型どおり、この一年間の活動の報告と今後の課題・方針が報告されました 。組合運動に不慣れな者が多く、不備な点もありましたが、知らせることが前進につな がる、という方針のもと、多くの方々のご支援を得ながら、地道ながらも着実に前進し てきたと言って良いかと思います。年度末に数件の「雇い止め=解雇」問題が駆け込み 寺的に発生し、組合本部の援助を得て撤回にこぎ着けたことなどは、初心者ばかりの執 行部としては、特筆したいところです。この種の取り組み(成果など)については、順次 『控室』に寄稿や報告を掲載する予定です。
 総会では、副委員長(副分会長)を設けるなどの規約改正がなされ、執行委員11名(委 員 長:斉藤吉広=再選、副委員長:村山知恵・志田昇)と会計監査が選出されました。ま た、大学教員任期制の法制化が国会上程へと動き出しましたので、反対アピール(別紙) を総会で決議しました。署名や集会など積極的な取り組みをお願いします。
 なお、当組合は、専任の職に就かれた方2名、退職された方1名、合計3名の減で、4月 1 日現在61名(1年前の約3倍)となっています。
 総会後の懇親会は、京滋地区大学非常勤講師組合の田村さんも含め20数名が参加し、 解雇撤回の当事者の発言や、普段なかなか会えない組合員同士の交流もなされ、意義深 いひとときでした。








運動・団交ニュース



1997年3月24日 都区関連一般労働組合 雇用確保特別闘争委員会 発行
「有期雇用・リストラをはねかえし雇用を守る闘争委員会ニュース 第3号」から

12分会218名(自治体関係労働者204名)
一人の首切りも出させなかったゾ!



 この春は、予想通り大量の解雇攻撃が激発しました。昨年11月の足立区保育園非常勤 保母83名解雇攻撃を皮切りに、この3月に解雇されるパート非常勤は合計で12分会218名 にまで及び、激烈な闘いが展開されました。本部に雇用確保特別闘争委員会を設置し、 この間5回開催し、各攻撃の分析や闘争の交流を行い、学習決起集会・闘争ニュース発 行など局面ごとに機敏に、都区横断の闘いをすすめてきました。この他、機関紙、パー ト読本の活用、春期講座・幹部養成労働学校を開催し、学習活動を旺盛にすすめ、確信 をもって各解雇闘争を戦い抜きました。闘争支援体制を強化し、初めての学内ビラ、激 励の世論形成、くりかえしの庁内ビラ、署名活動、議会工作、集団団交、特に豊島保育 ヘルパーの第3波に及ぶストライキ決行の決意は、行き詰まりかけていた局面を打ち破 ることができました。さらに、この解雇撤回闘争のなかで、わずか3カ月間で、新たに 解雇撤回闘争に関係する分会だけでも6分会が結成、143名が加入し、他の分会結成もす すみ、都区一般は1900名を突破し、大きな組織の前進を勝ち取ることができました。

*   *   *

 当分会もこの間、本部(都区関連一般労働組合)の効果的な支援を受けながら、待遇 改善や解雇(雇い止め)撤回に向け、取り組んできました。一定の前進や決着を見たも のについて、直接の当事者から報告を寄せていただきましたので、以下に3件ほど掲載 します。(他は続報の予定。)




<大月短期大学>

11%の賃上げを実現!



 『控室』3号で報告したように、昨年6月12日に大月短大と当組合との団交がおこなわ れ、大月市の「非常勤の教育職員の手当支給に関する規則」(以下「規則」)が1980年 に改正されて以降一度も改正されず、16年前の給与水準だったことが判明し、短大事務 局長が、賃上げと「規定」改正に向けて努力すると回答しましたが、このほど大月市議 会において次の2点が可決され、賃上げが実現しました。可決事項は次の2点です。

1.平成9年度の給与は現行「規則」の最高額を一律支給する。
2.現行「規則」の見直しを平成9年度におこなう。

 問題の現行「規則」は、それまで1〜2年毎に改正されていたのですが、どういうわけ か1980年改正以降は放置され、最高額は大学の講師クラスで、1時間当たり3500円、1コ マ当たり7000円に据え置かれたままでした。しかも実際には、この最高額さえ支給され ていませんでした。それが今回の決定により、今年度については平均1時間当たり350円 、1コマ当たり700円、つまり11%の賃上げ(月額16800円から18666円へ)が実現された と同時に、「規則」の改正が約束され、次年度以降の賃上げ実現の道が開かれたという わけです。当組合としては、この初の<賃上げ闘争>の成果は、<熾烈な闘い>の結果、勝 ち取られた、と報告したいところですが、実はそうではありません。団交の席上で私た ちが要求したのは、「給与規定を明示してほしい」という<情報公開>でした。当局はこ の要求に従い、膨大な文書つづりの中からこの「規則」を探し出し、その場で提示して くれました。そこに16年前の「規則」を見出したとき、驚いたのは私たちだけではあり ませんでした。なによりも事務局長自身おおいに驚き、「まことにすまなかった」と陳 謝し、賃上げに向けて努力することを言明してくれたのです。1コマ当たり7000円とい う額は、全国平均からすれば、まだまだ低いもので、消費税5%とそれに伴う物価上昇 を考えれば、吹けば飛ぶような微々たるものにすぎませんが、あの時私たちが交渉しな ければ、このわずかな額の賃上げさえなかったことでしょう。これに類することは給与 以外の面にも多々あると思われます。情報公開を要求すること、そして何よりも、声を 上げることの重要性を教えられた一件でした。(TA)





<白梅学園短期大学>

えっ、月額8万円でも私学共済!?



 3月21日、昨年秋以来当局の都合で引き延ばされていた白梅学園短大との団交が、や っ と実現しました。白梅短大で教えている組合員3名と、執行委員3名、それに都区一般本 部の小林さんが参加し、計7名でこれまでの団交で一番多い参加人数となりました。当 局からは二人の専任教員と気の毒なほどに緊張した事務局長が参加しました。初めての 団交でしたから、組合の「統一要求」をそのまま提出しました。以下の表に回答の概要 を示します。

今回の団交の成果

 第一に、とにかく粘り強く要求して交渉権を確立したことです。第二に、身分証明書 の発行、インターネット・図書館の使用などに関する非常勤講師の権利が知らされてい ない、または、はっきりしていないことを当局が認め、早急に非常勤講師向け冊子に明 記することを約束しました。第三に、給与規定の表の根拠を説明するための資料を、次 回の交渉までに用意することが約束されました。第二の点と合わせて、今後の交渉の前 提となるものの提出が約束されたと言えると思います。
 第四に、交渉の中で、白梅学園短大では私学共済に加入している非常勤講師がいるこ とが明らかとなりましたが、これはおおいに注目すべきです。当局の説明によれば、「 私学共済の規定では月10万円以上の収入で入れるが、非常勤講師は毎年収入が増減する ので、白梅短大では私学共済と交渉して月8万円以上としており、これを越えた非常勤 講師には連絡している」とのことでした。私学共済への加入は、組合として初耳で、他 に例を知りません。団交の後で、8万円を超えている組合員が、連絡を受けていないこ とが分かり、次回の交渉でつめなければなりませんが、ともかく加入者がいることは確 認されたので、今後、私学共済に問い合わせるなどして、我々の権利をはっきりさせて いきたいと思います。
 新学期早々、非常勤講師控え室でこの成果を宣伝し、出きるだけ早く、連休前に第2 回 の団交を要求したいと思っています。(IS)

要 求
回 答

身分証明書の発行
請求があれば現在も発行

非常勤講師に関する規則、規定、運営要網、賃金体系の提示
「平成5年・短大非常勤講師等給与規定の制定ならびに非常勤講師給与の改定について 」 を提出。交通費の支給を今年4月より一律月額1200円から実費支給に変更

専任教員枠の拡大
望ましいが今後経営に照らして検討

契約更新拒否・コマ数減・科目名変更をしないこと
無理

留学、入院、出産、育児期間の雇用保障
無理

時給の2倍化
月給換算で16500円の給与は決して良くないが、私短協のなかでは中くらいと認識

一時金(ボーナス)支袷
考えていない

健康診断の受診
全員に行う財源なく、既得権ある人だけ

紀要への執筆
紀要委員会で現在検討中、現状では専任の寄稿でいっぱい

研究費の支給
考えていない

コピーの使用
当面無理

組合掲示板(団交当日の追加事項)
控え室内に掲示を認める





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首都圏大学非常勤講師組合からの要請に従い、本号の「運動・団交ニュース」の
寄稿を一つ削除しました。(サーバ管理者)
   *   *   *
執筆者=組合員の希望により、この位置に掲載されていた寄稿を削除します。
(1997年8月2日 首都圏大学非常勤講師組合『控室』編集担当者)

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<寄稿:****大 音楽学部 声楽 非常勤講師>

過去、不当解雇撤回闘争、そして現在


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 私は、現在四六歳、二一年前、文理大学音楽学部の採用試験に合格し、希望に燃えて 徳島の地に来ました。その当時、大学側は、「今は非常勤ですが、ゆくゆくは、常勤に します」等と言い、私はその言葉を堅く信じ、頑張ってきました。大学の顔とも言われ る定期演奏会で合唱指揮や独唱、徳島県合唱祭では、年に一度、日曜日に、学生、百人 以上も私一人で引率して、出演していました。毎日のように、早朝、放課後練習、等、 学生を指導し、出演する為の責任ある仕事でした。しかし、正式授業のコマ数以外は、 給料は出ませんでした。
 ところが、一七年目(平成六年三月)に、「文部省から、教授、助教授、講師の人事 の指摘が有り、声楽の先生の中で次年度の持ち上がりコマ数が一番小なくなったので、 **先生には、お引き取り願います。」と教務部長が訳の分からない理由付けで、死神 の様に自宅にやって来ました。私は、その時、頭の中が真っ白になりました。大学の為 、一七年間働いて来た自分にとっては、この程度のものだったのか、用が無くなればボ ロ雑巾の様に捨てるのか、と思うと悔しくてなりませんでした。(ちなみに、この大学 の音楽学部には、ピアノ教授として理事長夫人がいます。)私の妻も大学に勤めていま したが、「文部省の大網化で担当授業が一年間休講になるので、その間は授業が出来ま せん」と言われ、自宅待機の名目のまま、解雇通告も何も無く,未だに復帰していませ ん。
 電話一本で解雇、女性が産休を取ると解雇、等、こんな非常識な解雇が、音楽学部で は毎年の様に行われてきました。私の解雇は、自分だけの事ではない。今後も毎年越き る事であり、何とかせねば、と思い「日本音楽家ユニオン」に相談しました。すぐに団 体交渉。大学の総務部長が、非常勤のような「虫けら」とは口が利けるか、と言わんば かりの顔をしていたのが印象的です。平行して、大勢の方のご支援を頂きつつ、裁判闘 争、ビラまき、集会での訴えなど。人間の心の暖かさを痛烈に感じながら、人生に於て の凄い経験でした。そして、大学側も音楽ユニオンを組合として認め、裁判所で法的和 解をし、現在はコマ数は八コマから五コマに減らされましたが、復帰して頑張っていま す。現在一コマ4300円(演習)と6600円。警報、急な公開レッスン等の行事、春、夏、 冬休み等、全く収入が無く、保険、研究費、定期検診といったものは何も有りません。 解雇通告以前は徳島校だけでしたが、和解後は香川校まで往復約三時間以上かけて一般 教養の音楽を教えに行っています。交通費は出ますが手当は出ません−−専任教員には 出張名目で手当が出るのに! 大学総務部長は、「徳島校も香川校も同じ文理大学だか らして、同じ敷地の中に有ると考える。言わば、長い渡り廊下でつながっていると考え られるので、手当は出ません。」と回答しています。ちなみに、年収72万円ではとても 生きてゆけません。
 書きたい事は山ほど有りますが、一つ言える事は、私の裁判闘争後は音楽学部で解雇 された先生はおらず、それだけでも嬉しく思っています。しかし今年に入って、先生方 の知らぬ間に、学生に対し、先生方を五段階評価するアンケートを取ったりしています 。年度末近く、そのアンケートに怯える先生が多くいます。又、未だに数人の専任教員 による私に対する「いじめ」等、色々有りますが、この文理大学が益々立派な大学にな るよう頑張ってゆきたいと思っています。
 全国の非常勤の皆さん! くじけずに頑張りましょう! 非常勤講師にも人間らしい 生活と権利を!        (1997年3月初旬)





<寄稿:都区関連一般労働組合 明治学院大学嘱託分会>

10年働くとクビ??!!

ー大学のなかの脱法行為に異議申し立てー
千葉 久仁子
 私たちは『控室』第6号で紹介していただきました、明治学院大学の「常勤嘱託」と い う名の事務職員です。昨1996年の暮れも押し詰まった12月25日に、都区関連一般労働組 合・明治学院大学嘱託分会を結成し、この2月に学院と「合意書」を交わすまで、少な いメンバー(8名)で必死に闘ってきました。この間、多くの方からの励ましとご協力を いただき、最悪の事態(雇い止め=解雇)をなんとか回避することができましたので、同 じような立場の皆さんに、「やれば必ず事態は変わる」という一例として、ここで簡単 に報告させていただきます。

一方的で違法な不利益変更攻撃
 明治学院が「嘱託就業規則」を作ったのが今から10年前の1987年6月。それまで、1年 契約ではあっても更新回数制限はなかった常勤嘱託に、「9回(通算10年)が限度」とい う労基法違反である不利益変更を、一方的に強行しました。しかも、「専任職員と同一 の業務に従事する」と堂々と規定した、という内容です。このような差別的な労働条件 に異議申し立てをするため、1992年にまず単独で組合を結成しましたが、メンバー10名 程度では全く相手にされず、逆に「契約しているのに文句を言うとは何と無責任な」と 批判される始末。当局から不当労働行為に当たる発言も言われ放題。それに対して反論 ・追求するパワーもありませんでした。「数・知」ともに不足していたのです。ただ首 切りに関しては、<「特別嘱託」というさらに低条件の身分での再雇用という形で雇用 をなんとかつなぐ>案を、7回の団交を経てようやく昨1996年11月に当局から出させた のが唯一の成果でした。しかし当局は、「この案に組合が合意しようとしまいと、組合 との団交はここまで」と発言し、これまでの力関係から、その強硬な態度を改めさせる 見込みも時間的猶予もないため(翌1997年3月に期限切れで解雇される犠牲者が13名)、 都区関連一般労働組合へ加盟する道を選んだのです。

はじめてのビラで事態に変化が ─ビラ攻勢と応援メッセージ─
 暮れに加盟してから間髪入れず団交申し入れ攻勢をかけ、年明け早々から、はじめて のビラまき攻勢を開始しました。ビラまきすることにより、これまで組合と当局のうち わに終わっていた(とんでもない内容の)話が公開されたことになり、言いたい放題・や りたい放題だった学院にとっては、かなり痛手になったようです。仮にも「大学」であ り、世間から後ろ指を指されるようなことはできない、という歯止めがかかったのでは ないでしょうか。カンパや応援メッセージなど、目に見える形で賛同の声も集まりはじ め、私たちもたいへん勇気づけられたものです。また、私たちのおかれている状況を客 観的に学習することで、私たちの主張が決して間違っていないということがわかり、そ れまで遠慮がちにしかいえなかったことが堂々と主張できるようになりました。このこ とがなかったら、ビラ一枚作るのも苦労していたに違いありません。

ついに暫定的な合意書を締結
 そして最終的に、(1)解雇予定者については暫定的に職種替えで雇用をつなぎ、(2)原 職復帰・当面の労働条件改訂については継続協議、(3)10年雇用そのものについては継 続協議、などを明記した「合意書」を取 り交わすにいたりました。これで、「組合と相談することなしに勝手なことはできない 」ということが、はっきりしたのです。やっとスタートラインまで来たな、という思い です。12月からこれまで、「差し迫った事態を何とかしたい」という一念で必死に頑張 ってきましたが、相変わらずの少人数で、なかなかメンバーが増えないのが悩みの種で す。でも、ここまで来たからには前に進むしかありません。また、少しずつでも前に進 むことが、「一緒にやろう」という人を増やしていくことにもなると考えて、焦らず、 ねばりづよく、息の長い取り組みをしていきます。
 社会全体が「人間の生活」を軽視する風潮へと流れていきかねないいま、私たちのち いさな闘いのひとつひとつが社会的にも必要とされているのです。みなさん、一緒に頑 張りましょう!





◆編集後記◆
 今号は原稿の集まりが良く、たいへん助かりました。原稿の在庫は貯金と同じで、多 ければ多いほど、編集作業の面でも、精神衛生の面でも、余裕を持てますし、いっそう 充実した内容に努めることが出来ます。公募情報の収集・配布も当組合の活動の一環と して位置づけられましたので、寄稿とともに、ご協力をよろしくお願いいたします。今 号は、試みに英文記事を掲載しました。

クリップ・ボード
(1) 原稿を募集します!
 随時受けつけ『控室』に掲載。大学非常勤講師問題を訴えるブックレットに採録もあ り。組合員・非組合員問わず、匿名可・プライバシー厳守。次の(2)の電子メールアド レス使用可。
(2) 公募情報などの収集・配布
」大学教員等の簡略な公募情報を作成し、電子メールかFaxで送信中(電子メールを強く 推奨)。受信希望者はCQN04150@niftyserve.or.jpまたはFax 03-3724-8095まで。但し、 当方の都合による遅れ・中断・中止もあり得ます。なお、公募の情報ないし公募の情報 源情報を、上記ないし下記の連絡先にお寄せいただければ幸いです。
・非常勤講師をお探しの方は、Fax 0426-27-4420(志田昇=副委員長)までご連絡下さ い。
ヲ上の公募情報も含め当組合について:
URL http://www.social.tsukuba.ac.jp/~yamane/
 ないし 
URL http://www.social.tsukuba.ac.jp/~yamane/union/


(3) 斉藤吉広 当分会委員長の新連絡先
   198東京都青梅市東青梅4-14-13
       メゾンドール東青梅312
(斉藤吉広方 首都圏大学非常勤講師組合)
Tel & Fax: 0428-20-7041
E-mail: NAA00370@niftyserve.or.jp

(4) ギャラガー先生「和解」へ
 裁判所の和解勧告を受け、1997年3月「@特任規定により勤務年限は1996年4月から19 98年3月までの2年とするが、自動的に非更新あるいは更新とはしない、A1997年度担当 科目は双方の協議による」ということで和解が成立。ただし、大学側は2月末の教授会 で、「一般英語は非常勤にやらせ、専門英語を重視していく」とする「語学教育改革の 基本計画」を決めましたので、実際どのような教壇復帰になるのか、見届ける必要があ ります。(「ギャラガー先生を教壇にもどす会」からの通信による)

(5) 最近の関連出版物その他
、最近の関連出版物: (1) 佐藤いづみ「大学改革を問う11 今、なぜ非常勤講師問題か ?」『歴史評論』1997年3月号155-158頁; (2) 村山知恵「大学非常勤講師と女性」日本 婦人団体連合会発行『婦人通信』1997年2月号No. 456、18-19頁; (3) グエンドリン・ ギャラガー「13年目の「解雇」」前掲『婦人通信』、20-21頁.
★日本科学史学会「科学史通信」1997年3月24日発行No. 318に大学非常勤講師問題を訴 える当組合員のアピールが掲載されました。さっそく若干の問い合わせやカンパがきて います。可能な方は、この種の取り組みをお願いします。
■日本科学者会議・全国とくに東京支部の1997年度の運動方針案に、大学非常勤講師の 待遇改善に取り組む旨が記されています。このように連帯と支援の輪が広がることは喜 ばしいことです。

Union of Part-Time Lecturers



The Trade Union of Part-Time Lecturers in Tokyo Area Colleges and Univ ersities is soliciting new members. The purpose of this group is to improve te aching and working conditions for university part-timers (hijoukin koshi) by e xchanging information, researching current working conditions, and negotiating with universities concerning such issues as salary, benefits, bonuses, insura nce, health examinations, pensions, teaching conditions, unfair dismissals, op portunities to publish in university bulletins, etc.
Please contact Ms. Nagao and/or Ms. Goto for more information.

(E-mail: Ms. Nagao) fwhh7909@mb.infoweb.or.jp (Fax: Ms. Nagao) 03-3707-6558
(Tel: Ms. Goto) 0492-96-0962


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