Date: Mon, 24 Jun 96 21:35:17 +0900
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Subject: Hikae Shitsu No.3


『控室』第3号(1996年6月16日発行)
首都圏大学非常勤講師組合(都区関連一般労働組合 大学非常勤講師分会)
委員長:斉藤吉広(FAX:0425-79-4575)
郵便振替講座:大学非常勤講師分会(00140-9- 157425)


■都留文科大・大月短大と交渉■


 《都留文科大 学長交渉》

 <都留の現状>
都留文科大学では、紀要への執筆、コピー機・図書館の利用などの権利が非常勤講師 にも認められており、従来から、ある程度は研究・教育条件に配慮がされていました。 他方で、都留は首都圏の四年制大学のなかでは非常勤講師の賃金が安い大学です。した がって、都留での交渉は、差別のない働きやすい大学の先進例を作っていくためにも、 全体の足を引っ張っている低賃金の底上げをするためにも重要な位置を占めています。 5月30日に要求書を提出し、6月12日に第1回の学長交渉がもたれました。

 <要求内容>
要求書は第1回総会決議の「私たちの要求」を参考にして作成されました。大要は以 下のようなものです。
1)社会的身分に関する事項
 大学教員としての身分証明書の発行を。
2)雇用契約に関する事項
(i) 非常勤講師にかかわる規則類の開示を。
(ii) 専任・非常勤の賃金体系の開示を。
(iii) 非常勤講師の中で本務校をもつ者ともたない者とを区別した名簿の提示を。
(iv) 専任教員枠の拡大を。
(v) 一方的な契約更新拒否を行なうな。
(vi) 留学、入院、出産・育児等の後の雇用契約を保障せよ。
3)労働条件に関する事項
(i) 生活できる賃金を。当面時給の2倍化を。
(ii) 一時金の支給を。
(iii) 健康診断に参加させよ。
4)研究・教育条件に関する事項
 控室に辞書・事典類を揃えること。

 <着実な成果>
交渉には、学長、教務厚生部長、事務局長が応対し、組合側は勤務している斉藤、志 田、戸田、谷田川と、本部の小林書記長の5名が参加。率直な意見交換が行なわれまし た。大学側としては、予算がかからない要求には、できるだけ前向きに対応したいとい う考えのようで、予想以上の成果がありました。今回の交渉で合意できた事項は以下の 通りです。@身分証明書の発行については前向きに検討する。A規則類は開示する。B 賃金体系は開示する。C本務校をもつ者ともたない者を区別した名簿は提出する(交渉 の場ですぐに手渡された)。D一方的な契約更新拒否は行なわない。E留学、入院など の後の雇用は、その間勤務する非常勤講師との話し合いがついていれば可能。F辞書・ 事典類はすぐに控室に揃える。他の事項については継続協議になりました。
                   (志田記)
※なお、渡された名簿によると、都留文の現在の非常勤講師196名のうち、本務校をも たないのは133名で、67.9%を占めることがわかりました。

 《大月短大事務局長交渉》

<賃金は16年間据え置きが判明>
去る6月12日(水)14時より約1時間半にわたり、5月23日に手渡した申入書につい て、大月短大と団体交渉を実施した。出席者は組合側は都区一般本部から小林書記長、 斉藤分会長、大月短大所属の浅野など5人。短大側は事務局長1人。
 まず当組合について一通り説明した後、申入書に沿って逐次交渉。主な回答は次のと おり。
 1.身分証明書の発行について……他の公立短大を参考にして検討する。
2.非常勤講師に関する身分規定などの提示について……大月市条令には身分規定な し。雇用契約事項については他大学を参考にして一括提示する方向で検討する。
3.賃金体系の提示について……16年前の規定で支払われていることが判明。規定 の改訂に向けて努力する。
4.専任教員に準じたコピー機の利用と図書館の利用について……専任教員と同様に おおいに利用してほしい。
5.学生への推薦図書購入規定の改善について……要望はもっともだと思うので、図 書館長へ伝える。
6.「紀要」への執筆・掲載について……教授会へ伝える。
7.その他……必要な情報は後日提供する。今後も交渉に応じ、情報交換などを行な う。

 <非常勤依存度60%に「これでい いんでしょうか…」と事務局長>
今年4月に初めて短大に着任した事務局長は、まだ勉強の途中であると言いつつも、 全国公立短期大学協会が作成した全国60公立短大の資料や大月市の文書を参照しつつ、 終始誠実に対応してくれた。とくに、賃金が16年前のままで他と比較しても格段に低い 事実には事務局長自身驚いている様子で、「誠に申し訳ない」と率直に発言した。また みずから、専任教員16人に対し非常勤講師25人であると報告したうえで、「こんなに依 存度が高くていいんでしょうか…」と疑問を隠さなかった。ノーマルなセンスからすれ ば、わたしたち非常勤講師のおかれている状況はやはりおかしいと思うものなのだとい うことを再認識した。
 都留文科大学の仲間が一緒に交渉してくれたのには心強かった。やっぱり仲間はい い。組合に入ってよかったと実感した交渉だった。
                            (浅野記)

 《今後の活動予定》

 組合では今後、個別私大との団体交渉や文部省・日本育英会などへの要請行動を行な っていく予定です。夏休み中に、ある程度集中的に対外活動を行なっていきます。
 組合員の方には事前に『組合通信』をお送りして随時行動提起を行なっていきますの で、どうか積極的に受け止めていただきたく思います。

6月8日には組合員9名の参加で、立教の嘱託講師制度に関わる法律問題の学習会とい うことで、東京私大教連顧問弁護士の田原俊雄さんを訪ねました。
 今後は、パート・非常勤全体のの置かれている状況について、あるいは労働組合運動 についての学習会を開催していく予定です。
 私たちの経験と要求を交流する機会ともなりますので、是非ご参加下さい。

 社会運動化の面では、ジャパンタイムズ社から発行される『それでも教授が一番えら い』(仮タイトル)と、『現代の高等教育』という月刊雑誌の非常勤講師問題特集号 に、執行委員が執筆の予定です。


■“こんなこと あんなこと”■
  なんとかしてくれ〜−−実態調査に寄せられた声から(その1)

<とにかく不安定!>
 厚生年金、健康保険組合に加入できないこと。定期健康診断が受けられないこと。  ボーナスがないこと。実習指導、実習見回りに関与できないこと。研究費がでないた め講義に必要な書籍、資料など自費購入。また学生を施設見学に連れていくときは自費 または学生負担となる。
 講師ボックスが小さくて必要な書類が入らない。コピーの印刷に枚数制限がある。
 見学調査のための経費がでないので、断念。
 学会に参加しても、所属なしで数に数えられない。研究費がなく、社会的に研究者と して扱われていない。
 身分保障がないのでいつも不安定さに怯えている。

<研究者として扱え!>
 紀要への論文掲載投稿ができないこと。カリキュラム改訂への意見や代案が反映され ないこと。社会的身分の不安定感。
 研究室がない。本、資料の置場所がない。カリキュラムへの発言権がない。
 給与が低い
 他大学にある資料(国外を含む)のコピーが勤務校の図書館を通して取り寄せられな い。
 科研費がだせない。個人研究室がないので学生とのコンタクトがとりにくい。
 カリキュラムについて発言権がない。研究費、学会費がすべて持ち出しである。
 経済的に不安定。常に「来年度は何コマあるのだろうか」と怯えていなくてはならな い。
 研究者としても教育者としても自分の仕事に誇りをもてない。
 本代で消えてゆく部分の大きいこと。持ちコマの看板が突然変わるのは負担が大き い。
 常勤と比べて比較にならないほど劣悪な研究環境。
 常勤・非常勤御分岐点は専攻 etc. による単なる偶然によることが多々あるのにこの 差は許しがたいものを感じる。
 大学によっては教育環境の整備を要望してもなかなか要求が届かない。(例えばコン ピューターシステムの購入が受け入れられない。
 授業の一時期(3から4時間)を図書館で演習したいといっても許可されないな ど。)

<正当な賃金を!>
 報酬の安いの一言に尽きる。銀行員の給料は高く、一般のサラリーマンの給料は安い などといわれますがわれわれはそのサラリーマンの数分の位置の収入しかありません。
 独立や結婚に支障をきたし研究以前の生活権すら保証されていないのが実態です。紀 要に投稿することができない。
 研究費も研究室もない(自宅に書庫や仕事部屋が必要なので広い部屋を借りなければ ならないが非常勤の給料では無理というジレンマ)。コンピューターネットワークにつ なぐにも電話線経由なので金がかかる。
 給料安いし年金や保険も自分で入らなくてはならない。いろいろなところにゆくのは 疲れる。
 たまたま私の勤務先は良心的なところが多かったのですが、時間割決定でひどい目に あった非常勤はいるらしい(一コマづつ二日とか)。
 常勤でないので研究室も研究費もなく研究上教育上(講義準備などで)で非常に不 便。自腹を切ることになりがち。生活不安、自分と年老いた両親だけが頼り。 トホホ……。
 健康保険、年金等しっかりと保証されていない。健康診断が受けられない。論文を載 せる場がない。

<身分差別をやめよ!>
 専任と同じように授業を行っているのに、学校側はまるで身分の低いものを扱うよう に扱う。昼食をとるのに苦労する大学もある。
 常勤と違って会議や大学運営の実務にわずらわされることなく講義に専念できる利点 があります。問題は報酬にあります。
 賃金が不当に低額である。次年度の予定がなかなか決まらない。上司の顔色をうかが う日が続いている。
 研究室がないことから大学の封筒を使えないことまで物質的には様々な不利益がある が、より重大なのは精神的な面で、講義している場合、何かの偶然で親しくなったごく 少数の学生以外では個人的に話をする機会がないので手応えがなく物足りない。
 不利益は今のところありません。収入も当てにしていません。老化防止のつもりでや っています。
 何年たっても「自分の場」とは感じにくい。「お客さん」扱い(よくも悪くも)され ています−専任の方や事務の方から。学生との関係が育ちにくい(蓄積しない)。これ を目下切実にかんじています。 留学、出産などのさいはやめるしかなかった。という か「続けることができる」とは思わなかった。
 研究費が出ないため、すべて自腹を切らなくてはならない。収入が極端に低く、かつ 契約が一年ごとで生活に対する不安にさらされている。

<発言させよ!>
 授業においては専任とまったく同様に責任を負って教育を任っているにも関わらず、 その教育について発言する場がない。
 きちんとした通知もなく一方的に契約を打ち切られた。(年末から三ヶ月、次年度の 打診があるかどうか悩んだ)。
 一人前の研究者とみなされたいない(気のせいかもしれないが)。
 紀要に書けない。身分への侮辱。経済的不安定研究費が出ない。 
 研究室がない。学会出席のための旅費が出ない。紀要に書けない。科研費を請求でき ない。大学の出版助成を受けることができない。大学のコピーが有料。
 教育方針の詳細が知らされないため評価(単位)に戸惑いがある。
 休講イコール収入減と直結している。
 求人情報が得にくいこと。


※前号でも「自発的に投稿して下さい」と呼びかけましたが、一件も反応なしでした。 言いたいこと・訴えたいこといっぱいありますよね?
 さあ、夏休みを利用して、書きましょう!
 1ページ分で400字×3.5枚。下記宛てに送って下さい。
〒205 羽村市小作台3-20-5小作プラザー105  斉藤吉広方
  首都圏大学非常勤講師組合


■専任は2割でいい!?−−立教大の語学《嘱託講師》制度の問題点■

 現在立教大学において、新しく「嘱託講師」のポストが設けられようとしている。そ の内容は、私大における任期制の導入の先取りであると同時に、非常勤講師の大量首切 りにつながるものであり、私たちとしても重大な関心を抱かざるを得ない。
 第一に、この嘱託講師は、「研究には義務を負わない」とわざわざ明記されているよ うに、教育とそれに必要な諸準備にだけ携わる教育教員と位置付けられており、研究を 行なう権利が否定されている。
 第二に、週4日で10コマという担当コマ数は、現行の専任教員の約2倍であり、この大 きな負担もまた研究を否定していると言わざるを得ない。そして、にもかかわらず月額 32万円(手取りは25-26万円となる)という給与は、非常勤講師のもっとも高い時間給と 比べて、わずかにましな程度の金額でしかない。
 第三に、「就業規則」では触れられていないが、この嘱託講師ポストは将来的には、 専任教員2:嘱託講師6:非常勤講師2(コマ数ベース)の割合で置かれることになって おり、現在の専任教員の持ちコマ比率25%をさらに減少させ、固定化するものである。
 第四に、1年契約、最高5年で更新打ち切り、というこの契約は、実質的な労基法違反 の雇用形態である。
 1コマしか持たない非常勤講師が、10年も20年も教え続けている場合はたくさんあ る。持ちコマ数10コマで語学教員の6割を占めることになる嘱託講師は、必ずや教育の 中心的担い手として大きな存在となるであろう。それを本当に5年以内で首にして教育 体制に支障が生じないのだろうか。それとも、ひき続き必要な嘱託講師は初年度の32万 円にもどして再雇用するつもりなのだろうか。どちらにしても、いずれ、裁判に持ち込 まれる日が来るのは避けられないであろう。
 第五に、この嘱託講師の導入に伴い、大量の非常勤講師が職を失うことは目に見えて いる。現在立教に勤務している非常勤講師は、嘱託講師には採らないという意向が伝え られており、ただでさえ一般教育の解体に伴う語学系の非常勤講師の首切りが横行して いる現在、我々としてはこのような事態を認めることはできない。

 劣悪な非常勤講師の条件の中で、生活のためにたくさんのコマ数をこなしている語学 系の非常勤講師は多い。だから、この嘱託講師のポストが「よりましな」ポストとして 受け止められることもおおいに予想される。しかしながら、伝えられるように若い研究 者が嘱託講師になったとして、週4日10コマの持ちコマと教材開発から入試業務に至る あらゆる教育業務を負わされ、研究は期待されず、またする余裕もなく5年間経って、 或いはもっと以前に首になったら、若いこの研究者のその後はどうなるのだろうか。 「国際化」がおおはやりの昨今、語学を文化として語ることのできる“大学の語学教 員”はどこで養成されるというのだろうか。
 また、この嘱託講師構想はすでにいくつかの大学で、外国人講師に適用されてきたも のを、全語学系講師に拡大したものである。我々は外国人講師だからといって、任期が あってもかまわないとは考えない。不安定雇用であって良い理由など何もないはずだ。 しかしながら、少なくない外国人講師がおそらく帰国を前提としているであろうことを 考えると、この嘱託講師という不安定就労の導入は、全く違った規模の問題を投げかけ ていると言えるであろう。
 伝えられるところでは、立教大学教職員組合は、組合として何回も討議をかさね、問 題点を指摘した上で、当局が学内の十分な討議を経ないで施行を急いでいることに抗議 しているという。
 我々首都圏大学非常勤講師組合は、大学に新たな不安定就労をつくることによって、 階層格差を複雑にし、おもしろくない人間関係がもたらされることになるのを黙って見 ていることはできない。まして、そのために、多くの非常勤講師が職を失うことになる のを許すことはできない。

<資料:立教大学嘱託講師就業規則>
(嘱託講師の定義)
第2条 「全学共通カリキュラム」の語学を担当する教員。
(職務)
第3条 嘱託講師は教育上の義務だけを負い、別段の定めのある場合を除き、 研究・大学行政に関する義務は負わないものとする。
嘱託講師の職務は以下の通り。
(1)言語教育科目の担当
(2)言語教育教材の開発補助
(3)カリキュラム・シラバスの作成補助
(4)授業方法・授業計画等の立案・作成補助
(5)入学試験に関する業務
(6)その他、言語教育に関する業務
(配置)
第5条 言語教育科目担当部会の教育研究室に配置される。
(勤務日)
第6条 勤務日は、原則として1週4日。
(担当コマ数)
第9条 1週10コマ。
(契約期間、更新)
第10条 契約期間は1年とする。
契約の更新は、教育上の必要性及び勤務状況、その他の事情を勘案して、4回 を限度として行なうことができる。
(給与)
第11条 給与は次の通り。{付則2条}
初年度 月額 320000円
2年度 月額 330000円
3年度 月額 340000円
4年度 月額 350000円
5年度 月額 360000円
(社会保険)
第15条 立教学院健康保険組合の行なう健康保険および厚生年金保 険に加入する。
(退職慰労金等)
第16条 退職金及び立教学院年金は、支給しない満3年に達した者に は、退職慰労金を支給する。
(その他)
第18条 研究費及び学会等の出張旅費は支給しない。
第19条 住宅手当については、専任勤務員の規定を適用する。{付則7条}
第20条 「立教大学勤務員育児休業規則」及び「立教大学勤務員介護 休職取扱規則」は適用しない。


機関誌『控室』第2号
非常勤講師労組結成! 第1回総会決議 「これまでの経緯」

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