首都圏大学非常勤講師組合機関紙

『控室』第1号

1996年3月12日発行

(WWW版:一部訂正)

正式名称:都区関連一般労働組合 大学・専門学校非常勤講師分会


 首都圏大学非常勤講師組合機関紙『控室』第1号
                1996年3月12日 発行
【都区関連一般労働組合 大学・専門学校非常勤講師分会】
【本部所在地】JR山手線・大塚駅・東京労働会館 5F
 〒170-0005 豊島区南大塚2丁目33番10号
       東京労働会館(ラパスビル)5階
 Tel 03-5395-5255 / FAX 03-5395-5139
【分会長】斉藤 吉広(1997年9月時点の連絡先)
     198 青梅市東青梅4-14-13メゾンドール東青梅312
     電話&FAX 0428-20-7041
目次
4月1日(月)第1回総会への参加を / 私たちの要求 / 大学運営の民主化と大学教育の質の向上のために / 東京近辺の大学非常勤講師ならどなたでも / 実態調査にご協力下さい / 総会開催要項


第1回総会への参加を

一低賃金で不安定な雇用から脱却しましょう!一

え?19コマ!?

 この間、加入の呼びかけをしていく中で「週5校で19コマ」という語学の方がいら っしゃいました。大学の非常勤だけで生活していくためには、そのくらい働かなくては ならないという現実があります。つまり、低賃金です。しかし大方の(本務校を持たな い)非常勤のみなさんにとっては、そんなに働こうにも働き先はありません。足りない 分は予備校や塾の講師で稼ぐか、配偶者の収入に頼ることになっているのではないでし ょうか。

 しかも年度の変わり目には急に時間割が変更され、それに応じられない場合にはクビ を切られたつすることもあります。またそもそも担当していた科目が来年度も存在する のかどうか、私たちは知らされないまま「その日」の来るのを待つだけです。

 他にも、研究室がない、研究費が出ない、学会の会費も大会への旅費も自腹、科研費 を申し込めない、大学によっては通勤費も出ない、・・・ いろいろ不満はありますが 、最も本質的な問題は、「雇用の不安定さ」というところにあるのではないでしょうか 。

社会的な「控え」として

 授業準備に追われる日常に理もれて、「非常勤なんて元々そんなもの」とあきらめて いませんか?

 しかし、研究者が批判精神を失ってしまってはいけません。私たちは、現在の大学教 育にとって<安価で柔軟な労働力>として使い回されているのです。「今の状況はおか しい」という共通認識を、まず育てたいと思います。

 私たちは、大学の「非常勤講師控室」で、同じ境遇の仲間たちと顔を合わせていなが ら、たいていは会話を交わすこともなく、孤独に授業に向かいます。しかも私たちは、 当の大学にとって「控え」であるだけでなく、その社会的存在としても「控え」となっ ていると言えるのではないでしょうか。この機関紙名「控室」に込めた思いを、みなさ んにもきっと共有していただけると思っています。

 控室にバラバラに放り込まれた私たちは、孤立したままでは、研究や生活や労働の条 件を改善することはできません。今までは要求する主体がなく、したがって何も要求し てこなかったからこそ、何も改善されなかったのです。私たち4人は、集い、交流し、 調査し、要求する場としてとにかく労働組合をつくってしまいました。現在、加入者・ 加入予定者は計10数人になっています。

ともに、要求の実現を

 私たちの置かれた状況は、労働基準法に照らして違法でさえあります。個人的しがら みで声を上げにくい、あるいは孤立していて元気が出ない一しかしだからといって黙っ ているときではありません。ともに集い、要求を掲げて活動していくことで、私たちの 正当な権利を獲得していきましょう。

 開催要項は4面にあります。現在の組合員で議論した具体的な要求の中味については 2面を、気になる組合費については3面をご覧下さい。


私たちの要求

1.社会的位置づけの明確化

 「大学問題」が語られるときに、非常勤講師の存在はほとんど無視されてきました。 大学教育における私たちの果たしている役割を明確にするために、文部省による大学非 常勤講師の全国的な実態調査を求めます。

2.雇用の安定化

(1)大学教員全体の不安定雇用を拡大するに違いない「任期制」の導入に反対。
(2)各大学における、専任教員伜の拡大。
(3)雇用契約内容の明確化。
(4)正当な理由のない契約更新拒否や、科目の変更による一方的なコマ数減の阻止、 雇用保障・コマ数保障の制度づくり。
(5)留学、出産・育児休暇後の雇用保障。
(6)専任教員採用における女性差別の是正。
(7)雇用保険への加入。

3.労働条件の改善

(1)賃金体系の明確化。
(2)賃上げ。
(3)夏期・冬期の一時金(ボーナス)支給。
(4)健康診断など福利厚生制度への参入。
(5)交通費の完全支給。

4.研究・教育条件の拡充

(1)大学紀要への執筆権の不平等是正。
(2)図書館利用の不平等是正。
(3)控室の条件拡充、あるいは非常勤講師用研究室の設置。
(4)コピー・印刷機の使用の簡便化。
(5)カリキュラム作成過程の情報公開ならびにそれへの何らかの形での参加。

大学運営の民主化と大学教育の質の向上のために

 「使い捨てられる非常勤講師たち」の中で、付添敦子さんは次のように語っています 。 「専門性を生かした講義を担当するという点では、専任教員も非常勤講師も同等で ある。身分は非常勤講師だが、大学教育の一翼を担っているという自負もある。それで も、大学全体の教育方針に何ひとつ口だしできないところに、非常勤講師の無念がある 。」
 「非常勤講師の採用に際しては、研究青たることを要求する大学が、非常勤講師の研 究を支援する姿勢をまったくもっていない。ここには、非常勤講師を教育現場での消耗 品、使い捨てとみなしている大学の姿勢が明らかである。非常勤講師の質的向上に力を 注げない大学が、学生の教育に力を注いでいるとは、とうてい思えない。」
 一「この講義名でお願いします」とだけで、その講載の設置意図や他講義との関連に ついては何ら説明も聞かないまま講義に向かう、というのが大方の非常勤講師の経験し ているところではないでしょうか。しかし、かなりの割合の授業を非常勤に依存してい る大学が、そうしたやり方で自らの教育責任を果たし得ているとは思えません。しかも 、そこでの "外注" 意識が「安くていい、いざというときには切ればいい」という差別 的で非民主的な関係の仕方を選ばせているとも言えます。非常勤講師の研究・教育経験 を集団的に生かそうとせず、劣悪な生活条件を強いている二重構造を打破することは、 大学運営の民主化や大学教育の質の向上を求める課題と一体のものなのです。

東京近辺の大学非常勤講師ならどなたでも

組合費は非常勤収入の0.7%

加入資格

 東京近辺の大学・短大に非常勤講師として勤務している、本務校をもたない方、とい うのが基本的な加入有資格者です。
 ただし分会の執行委員会が特に認めた場合は、この限りではありません。最大限、「 大学関係不安定就業者」まで加入要件を広げようという議論になっています。つまり職 場の正職員の労働組合が加入を認めず、自分の権利を守るために闘う主体が存在しない 場合など、講師以外でも加入は不可能ではありません。その他、ご相談下さい。
 国籍は問いません。

組合費

 加入時には「都区関連一般労働組合」への加入金が一律1,000円かかります。
 そして組合費の算定は、総収入ではなく、非常勤で得ている月収の0.7%+100円とな ります。
 年間の非常勤総収入(手取)が240万円だとすればそれを12で割った20万円が算定 の基礎となり、
      20万×0.7%+100=1,400+100=1500円
が1月分の組合費となります。ただしこの計算にかかわらず、月800円が最低の組合費 です。
 なお、0.5%+100円が組合の本部費、分会としては0.2%を受け取ります。

 組合費の負担の問題だけでなく、「加入すると職を失うかもしれない」という危惧の せいで、加入にためらいを感じていらっしゃる方も多いのではないかと思います。そう いう経済的・社会的な不安定状態こそを克服しようというのがこの組合設立の目的なの ですが、いたしかたのないことです。
 しかし「加入はできそうにない」と思われている方でも、どうぞ総会にいらして下さ い。必要があれば、当日完全匿名で参加できるようにもしたいと考えています(はがき にその旨をお書き添え下さい)。同じような境遇の下で研究・教育に携わっている仲間 と交流することで、少しでも元気を付けていただけたら、と思います。
 なお、組合員の名簿は非公開です。交渉の場でも、代表者(大学単位の場合は、その 大学の誰か1名)のみが名前を明かせばよいことになっています。その点は、心配なさ いませんよう。

   *   *   *

実態調査にご協力下さい

 2面の「私たちの要求」にもある通り、文部省に対して大学非常勤講師の実態調査を するよう求めていきます。しかし私たち自身でも、実態を共有し、分析していくことが 重要だと考えます。
 加入の意志の有無にかかわらず、ぜひ同封の「大学非常勤講師実態調査」への回答を お願いいたします。ご覧いただければお分かりの通り、匿名での回答もできますし、勤 務している大学名も差し障りがあれば伏しておくことができます。
 この実態調査には長期的に取り組んでいく予定ですが、総会で一定の成果を紹介した いので、早目にご返送いただけたら幸いです。
 私たちは、単行本の出版を計画しています。大学非常勤講師の実態を暴露・分析し、 現在の大学教育のあり方に提言を発しようというものです。そのためにも、是非ご協力 をお卿いいたします。
 加入されない方にも、氏名・住所を書いていただければ結果報告を送らせていただき ますのでご考慮下さい。


総会開催要項

日時:1996年4月1日(月)14:00〜17:00
   (懇親会は17:15〜18:30、会費500円)
場所:東京土建会館3F会議室(当日の連絡は都区一般 03-5350-6674 へ)
   (地図:このテキストでは省略)

◆加入をためらっている方も様子を見に来て下さって構いません。その場合は、同封の はがきの「加入できないが総会には参加する」の箇所に○をして、投函して下さい。
 20〜30人を予想していますが、参加表明者が多くて場所を変更する場合には、は がきで参加を表明された方にしか変更の連絡を差し上げられません。(ただし、変更の 場合も上記の近隣の会場です。)
 できるだけ3月22日(金)までにご投函下さるようお願いします。

   *   *   *

関西ではすでに50人近くが結集しています!

朝日新聞(東海版1995年7月11日付より)
      私大の非常勤講師 待遇改善求め連帯
      京都・滋賀 近く全国初の労組

 京都、滋賀両府県の私立大・知大で働く非常勤講師が「京滋地区私立大学非常勤講師 組合」(仮称)をつくることを決め、一九日に京都市内で結成大会を開く。複数の大学 にまたがる非常勤講師の労組は全国で初めて。各大学に結成を通知するとともに、給与 の増額や健康診断の実施、共同研究室の設置など六項目を要求していくという。
 立命館大でドイツ語を教えている林誠宏さんら六人の呼びかけで、同志社、龍谷、京 都産業大などで働く非常勤講師約50人が加わる。
 組合準備会によると、京滋地区の約三十五校で、三百人以上の非常勤講師が働いてい る。しかし、いずれも契約は一年ごとの更新で、授業一コマ当たり二万五千〜二万七千 円の月額報酬と交通費実費が支給されるケースが大半。保険や一時金もな<、研究室も ない。
 ここ数年、一般教育科目の縮小や十八歳人口の減少などで、各私学とも身分の不安定 な非常勤講師が突然解雇されるケースが増えている、という。
 呼びかけ人の一人、同志社大非常勤講師の石黒やすえさん(52)は、「大学の一方的 な都合で、簡単に切り捨てられる現状に泣き寝入りしたくない。全国の同じ立場の人た ちと連帯していきたい」と話している。

******郵便振替口座******
口座番号:00140−9−157425
口座名称:大学非常勤講師分会
※専任の方、どうかカンパをお奇せ下さい。
 1口2,OOO円とさせていただきます。
 氏名を公表されたくない方は、その旨を「通信欄」にお書き添え下さいますよう。
************************************************************


非常勤講師労組結成! 第1回総会決議 「これまでの経緯」

戻る inserted by FC2 system